とにかく昔から人混みが大嫌い。だから世間で流行っている場所などにも今まで行かなかった。
また〜り

つまり「流行に背を向けている」のだ。と言っても、女の子に誘われればどんな人混みにだってホイホイと出かけちゃう程度のポリシーなのだが。
ところがひょんな事から真夏のオタクの祭典『コミックマーケット』通称・夏コミに出かける事となった。
実はコミケットに関しては、本日一緒に行くことになっているリンジ氏は今から30年ほど前、70年代に創作漫画サークルに所属していてコミケに参加した事があるらしい。でもその時と現在のコミケはまったく違う物で、とんでもない経済効果があるお祭りになっている。とにかくウワサでは「凄い事になっている」ぐらいしか解らない。
今回、夏コミに行く事になったのは「
唐沢俊一検証blog」が氏のこれまでのあれやこれやを検証した物を本にまとめて、コミケで販売するというイベントがある為で、自分も当事者の隅っこにいる事から参加を考えたのだ。
基本的に自分は「雑学には著作権は存在しない」というスタンスを持っているので、自分が関わっているかという部分は実に微妙な感じ。自分だって基本的には「調べた」と言っても元ネタがどっかの本などに書かれていたという事も多いので「オマエもパクリじゃん」と言われたら「ハイスミマセン」となってしまう。丸写しや1つの文献から引き写したりはしないけど、難しい。ガセになってしまった物もいくつかあるし。
この話をリンジにした所「俺も行ってみたい」という事で二人で出かける事となった。
お盆のこの時期にそんな所に行けるなんて、本当に先祖不幸だよなぁ(とりあえずお墓にも行って、迎え火も焚いたけど)。
とりあえず色々調べて見ると午前中9時ぐらいに行くと、会場入りに2時間とか掛かるらしいので、昼ぐらいに行った方があまり並ばずに入れるという事で、11時半ぐらいに着けるように考えて出かける。
ゆりかもめ新橋駅はとにかく人が溢れていて、その入口に「往復切符・臨時発売所」が設置されていて、大行列が出来ていた。とりあえず帰りをどうするか考えていなかったので、往復切符ではなく構内にある券売機で片道を買うことにしたのだがそっちも大行列。
その時点で自分は激しく「来なけりゃよかった」と後悔をしはじめた。うわぁ汗臭いぃぃぃ。
自分は基本的に肉をほとんど食べない人なので、おそらく自分の体臭は草原を駆け抜けるそよ風のような感じだと思うが(あくまでも自己申告)、他人のムワンとした肉食系のニオイがダメなのだ。
コミケに行くという話が出た時に「その手の人って、髪の毛もボサボサで風呂にも入らず、服も着替えず」という一般人が想定しえる「その手の人」の話を笑い話としてしていたのだが、今現在「その手の人」がマジに自分の前に並んでいてビビってしまった。ボサボサの毛に、1m以上離れた所から解る大きさのフケが点在しているのだ。うわぁぁぁぁ来ちゃいけない所に来ちゃったよぉ。もうゆりかもめに乗る前から気分が萎れ、激しく激しく後悔をしていた。

ぎゅーぎゅー詰めのゆりかもめだったけれど、座れたお陰で国際展示場までは軽快に進むことが出来、その中から1/1ガンダムも見る事が出来た。
『1stガンダム』の放送はちょうど自分が高校3年の時で、すでにアニメなんかは卒業していたんだけど、友人が買っていた「アニメージュ」などでその世界観やストーリーは知っていたし、安彦良和氏の「アリオン」とか読んでいたので(漫画は卒業しなかった)時々チラッと見ることはあった。
まさかそれから30周年も続編が続いていくとは思わなかったなぁ。
などと過去に思いを馳せている間にゆりかもめは国際展示場へと着く。ドッと解放された客は当たり前のように巨大な建物に向かって歩いていく。

って、やはり現物見ると異様なデザインだよなぁ。よくこれに対して建築許可が出たよなぁ。とぼーっと国際展示場の建物を見上げてしまう。これだけでも「すでに子供の頃に夢見た未来は訪れているのだ」と思ってしまうのだ。
って、携帯電話、ワンセグを初めとして、過去の近未来はすでにやって来ているんだろうけどね。
しかし、その会場が近づくにつれ何かザワザワと人が溢れはじめ、異様な熱気というか、負の磁場というか、得たいの知れないパワーを感じ、精神が重くなっていく。自分にはスピリチュアルな能力なんて全然ないのに、なんだろうこの異様な威圧感は。取りあえず流れに任せて移動するしかない。
後に報道で知ったのですが、この日、8月16日だけの入場者が20万人だそうです。3日で計56万人。
リンジが「ちょっとトイレ」と言ってトイレマークを捜すのだが、そこには異常とも思える大行列が!うわぁぁぁこりゃトンデモないや。自分はその間、館内案内ボードを見つけ目的の場所がどこにあるのかを捜す。とりあえず「だいたいここ」と解ったのだが、館内が変なデザインになっているのでどう行ったらいいのかイマイチ不安。
と思っていた処に思ったより早くリンジが帰ってくる。
「あれ? あんな行列が出来ていたのにどうして?」
「いや、あの行列はトイレじゃなかったんだよ」
と指さす。その行列の先頭を目で追うとそこには『ATM』のマークが。そうか!予定以上に買い物をして、さらに追加で金を下ろすための行列なのかぁぁぁぁ!げに恐ろしきは物欲の亡者達!

異常に広い館内なのに、どこへ行っても人が溢れている。なんとなく人が流れていくので、おそらくそっち方面と当たりをつけて身を任せる。
そうこうしている内に、目的だった「東2」の文字が見えてくる。おぉなんとか辿り着いた。
と、その会場に入ってまたグッタリしてしまった。
みんながザワザワ移動していた通路とは違って、どでかい体育館の中、本当に向こう側には霞が掛かっているかのような広さの中にギッシリ人間が詰め込まれて、ワサワサ動いているのだ。うわぁぁぁダメだ俺、もう帰りたい。
そんな風にグッタリしつつ、東2 M-05aを捜す。と、かなり目立つ場所にありました「西理研」の文字が。
リンジは「俺、適当にそこら見ているから、用件が終わったらケータイで」と言って人混みの中に消えていく。
もしかして画像データにする必要が無かったか?

初めてお会いする検証班さんを見て「あぁやっちゃったよ」と苦笑い。そこには小綺麗なカラサー氏がいました。やや洋風ながらサッパリとしたイケメンなので、コスプレが浮いている感じでした。
さらにその後ろには、場に相応しくない楚々とした美女三人がにこやかに座っているではないですか。これがウワサの3姉妹なのか、ギャグではなく本当に存在したんだ。
「はじめまして、知泉を名乗っております杉村です」と名刺を差し出して挨拶をし、美女とも挨拶をしようとした瞬間、すぐ横で「おぉ知泉さん!」と声が。
そこには藤岡真さんがいて、さらに昼間たかしさん、永山薫さん、大野典宏さんを紹介して貰う。面識あったのは藤岡さんのみで、田舎にすっこんでいる自分としてはみんな「うわぁ本物だ」状態となり、グッタリな気分から少しテンション上がる。
でも、そのせいで3姉妹に挨拶が出来なかった事は大いに心残りとなってしまったのだ。
検証班さんから『唐沢俊一検証本Vol.1-盗用編-』を友人に頼まれた分も含め2冊購入。メールで献本しますと言われていたのですが、ここは「次のVol. 2を作るための資金に」と購入。
「ちゃんと逃げないで今日来たみたいだよ」「でも、以前は3時ぐらいに撤収って書かれていたのが、今朝みたら早めに撤収になっていたから、いつ帰るのか……」という話だった。
漫棚通信さんが来た所で、みんな揃って献本するために唐沢俊一氏のいる「東文研」に伺う予定になっているが、漫棚通信さんは昼過ぎに到着する予定になっている。それまで撤収せずにいるのかが問題となっていた。
12時を少し回った時に「唐沢が撤退準備を始めたらしい」という情報が入り、漫棚さんを待たずに全員が動き出す。「西理研」ブースの中には3姉妹だけが残る。逆にこの時に買いに行きたかったなぁなどと思いつつ、一緒に動く。
「東文研」ブースの中には唐沢俊一氏が居た。うわぁ本物だよ……、と思ったけれどなんか写真なんかで見るのよりパッとしないおじさんだなぁという印象(ごめんなさい)。
検証班さんが『唐沢俊一検証本Vol.1-盗用編-』を唐沢俊一氏に献本する贈呈式が執り行われる。すぐ後ろに藤岡さんがズンと存在感ありで立つ。
コミケの中は基本的に写真撮影禁止なのですが、ちゃんと昼間さんはジャーナリストとして撮影許可を取り「報道」の腕章を着け、その歴史的場面を写真に納める。
自分はとりあえずその場面をちょっと遠巻きに真横から見ている。ふと廻りを見渡すと、そこそこの人垣が出来ていて、すぐ横にいた男性二人は「あれが唐沢検証の人なんだ」「うわぁ凄い場面見ちゃったよ」などと話をしていた。やはり結構色々な人に知られている話なんだねえ。
竹熊先生から頂いた『』COMIC MAVO Vol.2

その贈呈式が終わった後は「とりあえず式典やったので」という安堵感でダラダラとしている。
と、人垣の中から竹熊健太郎先生が登場。うわぁぁぁぁ本物だ!
と藤岡さんが「こちら知泉さん」と紹介してくださったので、名刺を緊張しながら渡す「おぉキミが知泉さんか、ちょっとね名刺切らしちゃっているので……」とカバンの中から最新同人誌を取りだし頂く。
その後は、3姉妹が竹熊先生の大ファンという事でサインをして貰い大盛上がりとなる。
検証本は、それからしばらくして見事に完売「だからもっと持ってきた方が良かったのに」という意見も出ているが、実際どうなるか解らないのでこの辺の見極めは本当に難しい所なのだ。
その場にいたみんなは「さて、アッチはもう時間的に撤退した頃かな?」「とりあえず撤退するぐらいまで何が起こるか解らないからどうしようか」「でもこんなに早く完売って事はそれだけ注目されているんだよなぁ」「あとは漫棚通信さんと挨拶するだけか」と言うことで雑談をして過ごしていた。
格闘技などの話をして、自分も最近知った沖縄生まれの格闘技「躰道」とは何ぞや?という話を聞いたりしつつ、完全にだらけていた。基本的にコミケ自体には興味ないって事なのだ。
1時ちょい過ぎぐらい、人混みをかき分けてやけに目立つ黄色いアロハを着た大柄の人が、すでに完売のボードが出ている机にやってきた。残念、もう1時間ぐらい前に売り切れちゃったんだよね……。
と思っていたのだが、その人物はいきなり検証班さんに向かって何やら大声で喋りかけ始めた。
自分の立っていた場所からでは、昼過ぎにいっそう増えた人波のザワザワ感にかき消されてその言葉の中身はハッキリ聞こえない。
さっきまで談笑していた藤岡さんは何かを察知したらしくその男性のすぐ脇に移動していた。
その黄色いアロハはいきなり検証班さんと握手をし、さらに横に座っていた3姉妹の一人とも握手を始めた。もっとも握手といってもしなれていないのか、ちゃんと握手しているワケではなくやっとその手を指先で掴んでいるような感じ。
その時、その黄色いアロハの後ろには二人組のお客さんが立って覗き込んでいた事もあって、藤岡さんが黄色いアロハに他のお客さんの邪魔だからどけよと言った風に促し、一緒にブースの横に移動した。
検証班さんはそのお客さんの相手をしていた為におそらくその後は見ていないと思うが、その黄色いアロハの男性は藤岡さんに対して慣れ慣れしく話しかけていた。
その黄色いアロハの男性はずっとニヤニヤ笑いながらいたので、ヨッパライか、ちょっとヤバい人なのかも知れないと思いつつ、でもどっかで見たことがあるような……と思っていた。
その男性は藤岡さんの顔前に拳を出したり、いきなり肩に手を回したり、やけに慣れ慣れしい態度を取り続けていたが、マジにヤバそうな人なのかなぁ、と思っている時にふと「あれ?この人、痛車ライターの人じゃないか?」と。随分前に話題になっただけなのでイマイチ自信がないけどたしかこんな顔だったような気がする。フルネームは思い出せずドラゴン……なんだっけ?(帰宅後、それが正解だと判明するワケですが)
そんな事を考えている内に、その黄色いアロハ氏は何か言い捨てて去っていった(それもイマイチ聞き取れなかった)。
ふ〜ん、コミケってのは色々な人がいるんだなぁ。
それからしばらくして漫棚通信さんが登場。自分の想像していた感じとはちょっと違っていましたが、少し話しただけでも凄くパワーを感じる方でした。あの漫画に対する情熱とかは見習う所がありすぎます。
その後、伊藤剛さんがやってきて名刺交換。話をしている中で「関町って……」という話も出てくる。てぇ事は自分のblogも読まれているって事か、と随分と「関町物語」の続きを書いていない事をいきなり思い出したりするのだ。
しかし本日はいきなり本やネットでしか触れた事がない人々と直接逢え、なんか凄い経験をしているのだ。その中で、上手に会話に入れずにぼーっと聞いてしまう自分はまだまだだなぁと痛感。もっと前向きな人生を歩まなくてはいけない。
どうやら、唐沢俊一ブースが撤退したというウワサが聞こえて来たことで「じゃ、ここらでお開きにしますか」と言うことで、2時半ぐらいにそこから離れていく。
すっかり忘れていたリンジにケータイで連絡を入れる「………………ただいまauの携帯電話が電波が混み合っておりますので」と通話が出来ない。自分ではなくauがどうも混雑に弱いみたいなのだ。
実はさっき藤岡さんも自宅に連絡しようとしても「何度掛けても繋がらないんだよ」と言っていたのだが、藤岡さんのケータイもauだった。
マズイ!この広い、しかも何万人もいるここで迷子になったら一生会えないかもしれない(そんな事はない)、としばらく狼狽える。
でも連絡方法はケータイしか無いのだ。リダイヤル「……ただいまauの」、リダイヤル「……ただいまauの」、リダイヤル「……ただいまauの」、と何度リダイヤルした事か。
おそらく時間としては10分以上もその行為を続けた。
と、いきなり繋がり「じゃ、東2の入ってすぐの所にあるスクリーントーンとか文具を売っていた場所の前で」と場所指定をして、涙の再会となったのだ。あぁよかった。思わず再会した時にハグしてしまった、オッサン同士なのに。
まだ時間は3時前、この時間だったらまだそんなに混まずに帰る事が出来る!という事でゆりかもめへ急ぐ。ハズだったのだが、こんどは国際展示場の出口が解らなくなり、しばらくウロウロする。
入場した時もかなり人が溢れていたが、帰りが近づいている今はもっと凄い事になっていた。午前に入って来た人は1日中いる勢いなので、人がどんどん貯まっていく。さらに館内のアチコチにはいくつものグループが集団で座り込んでいる。疲れて座り込んでいるのか、待ち合わせで座り込んでいるのか不明だが、壁際は全部座り込んだ人で埋め尽くされ、そのスキマを縫って歩くしかないのだ。
その集団の横をすり抜ける際に、ふっと床に拡げている購入した同人誌の山を見てちょっとビックリ。同人誌って通常の本と比べるとかなり値段が高い。その同人誌が30cmぐらいのタワーを造っていて、それが4本ぐらい円陣の中に置かれているのだ。これは「げんしけん」で見たシーンだ。グループで手分けしてめぼしい物を購入するパターンだな。でもお前らいったいいくら金使ったんだ?
ふ〜〜〜〜ぅと精気を抜かれたような状態で国際展示場を後にする。
リンジは「じゃ、お台場のガンダム見て帰る?」とか言っているが、到底無理。もう自分の精神力のメーターはほぼゼロでやんす。
とりあえず運が良いのか、帰りのゆりかもめも最初から座れたので少しは楽だったけれど、もう二度とコミケなんて行くもんかと思ってしまったのだ(冬コミでも検証班さんがVol.2を出版する予定ですが、おそらく大晦日直前は仕事の関係などで動けないと思う)。
この日、『唐沢俊一検証本Vol.1-盗用編-』は120冊搬入したそうですが、12時半には完売。その後、タコシェに委託して通信販売を始めたのですが、委託した70冊が即日完売。
やはり唐沢俊一検証は凄い注目を浴びているんだなぁ。
そこで話した事は「自分も雑学を語る時は、調べすぎるぐらいまで調べていなくちゃいけない!」という事なのだ。そう言う意味ではこれ以上ない反面教師なのだ。
とか言いつつ、それから3日後のラジオで「甲子園の土」の話をした時に、最初に土を持ち帰った選手の話題で原稿に書いてある『小倉北高校』を「おぐらきた」と読んでしまったのだ。実際には福岡県の高校なので「こくらきた」ですね。ごめんなさい、切磋琢磨します。
ちなみに甲子園の土を最初に持ち帰ったのは戦前の川上哲治ではという説があるのですが、これに関しては川上サイドから「それは違います」という答が返されています。
切磋琢磨。
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