ネット時代というのはいつから始まったのかは解らないけど、おそらく10年ほど前に「東芝クレイマー事件」というのがあって、その辺りから「人の口に戸は立てられない」という部分が、冗談じゃなくなって来たんだと思う。
東芝クレーマー事件と、2ちゃんねる創始が微妙にリンクして、世の中に風穴が空いてきた。
それまでなら「○○は不正をしている!」という事を叫んでいた人も、企業に向かって叫んでも届かず、新聞社やテレビ局などに投稿をしても無視され、かといって駅前で叫んでも変な人扱いだし、庶民は泣き寝入りという事が多かったり、10年も20年も同じ事を叫び続けている変な人になっていったりした。
しかし、ネット時代になると自らが主張したい事はサイトなりを作って発表する事が出来る。もちろん、それだけでは何の効力も無いが、それが次第に話題となって大きなうねりを作り上げる事によって意味が発生するんだけど。
この10年の間、企業内などの不正に関しての秘密がかなり緩やかに世に広まる事が多くなったような気がする。
だから企業もその辺の対応をしっかりしなくてはいけないのだ。
もちろん不正と呼ばれることは最初からやってはいけないけれど、もし何かで駄目な部分がリークされた場合、即座にそれを社内で調査して「実はこんな事が起こっていました」と発表出来るか出来ないかという部分が、後々まで大きくなるかならないかという分かれ道となっている。
つまり罪を自らどこまで認める事が出来るか? という部分が命運を分ける。
一時期話題になった船場吉兆のささやきオカミ。twitterを先取りしていたかのようなささやきはテレビで即座に広がっていったけれど、「賞味期限切れや産地偽装した食材をつかってごめんなさい」と謝罪して、休業→再開した後で「食べ残しを使い回していた」というのが発覚して、最終的には廃業することとなってしまった。
アレなんか、1回ですべて膿を出していれば騒ぎはそこまで大きくならなかったのかも知れない。
交通事故なんかでは「自分から謝っちゃダメ」みたいな流れがあるけれど、とりあえずウソを付かずに謝罪して誠意を見せるというのも必要な世の中なのだ。

という事で、自分も4月にリリースされたiPhoneアプリ『知泉の雑学クイズ』無料版に関して「間違ったクイズがありました!」と指摘されたその日に、このブログで謝罪をした。
そして慌てて、同傾向のクイズを作り直し、それを明け方、制作会社に送信した。謝罪と訂正を24時間以内にと考えたのだ。もちろん、ソフト的に修正したモノが反映されるのに数日かかるかも知れないと思いつつ、迅速な対応が利用者に対しての誠実さだと思っていたので。
しかし修正されなかった。
1週間経って「メールで差し替えデータを送ったので、差し替えてください」と再度連絡を入れたが挿し変わらなかった。
その間にアプリのレビュー欄には「間違っています」という文章がいくつも書き込まれ「誰かに話したくなるなんて言っているけど、信じて使うと恥をかきますよ」、さらに「他にも間違ったモノがあります」とか書き込まれるようになった。
「え? 他にも間違っている?」と思って、テキストデータを再チェックしていったのだが、どれが間違っているのか解らない。最初の指摘に関しては具体的だったのに、それ以外は明確に指摘が無く「間違っている」としか書いていない状態なのだ。
テキストを1つ1つ再チェックする。かなりの時間が掛かってしまったが、どこが間違っているのか不明。
本当に間違っているのか、嫌がらせっぽく間違いばっかりじゃん!と煽っているのか不明。

この手の指摘が難しいのは「指摘自体が間違っている可能性もある」という事。
某所で自分が描いた雑学が晒された事がある。「ボンドは登録商標である」というモノなのですが、それに対して「ボンドはホッチキスと違って普通名詞。それで登録商標とはひどい」というレスがあった。
しかし、実際には「文具のホチキスはかつては日本ではイトーキの登録商標でしたが今はフリー。しかし文具以外で医療器具でのホッチキスはマックス株式会社、理化学分野でのホッチキスはキヤノン株式会社の登録商標として残っている。ボンドに関しては最初発売した時に登録し忘れたので勝手に名称が使われる事となったが、後に裁判でコニシ株式会社が自社製品だということで登録商標となっている」という、指摘とは逆の状態なのだ。
ボンドに関しては去年、ラジオの方で喋った際にコニシへ直接電話をして確認をしている。
つまり「間違っている」という指摘自体が間違っているという可能性もある。
雑学的な物は、時代によって「実はこういう文献が発見された」とかで変化してしまう場合もあるので、かつて聞いたままの知識だと間違っている可能性も出てしまうのだ。アプリの間違いに関しても、そうい感じだったので自分にも非はあります。
結果として、アプリの間違いを指摘されブログに謝罪文を書いたのは6月7日。差し替えデータを送ったのは翌日の6月8日。
そして差し替えられたのは3ヶ月も経った9月8日だった。
その間、なんども「差し替えて下さい」と先方にメールを送り、新たに作った差し替えデータを送っていた。しかし修正されないままだった事もあり、レビューのトップには「間違っています」「恥を書きます」が表示されたままになっていた。
リリースした当初はアプリの評価は★5が圧倒的に多く、かなり内容的に褒めて貰えられていたのですが、その「間違っています」という指摘がトップに来てから、★1つが圧倒的に多くなり、3ヶ月も放置された段階では★1つの評価を付けている人が一番多いという悲惨な状態となってしまったのです。無料版のダウンロードは20万というとんでもない数字だったのですが。
自分的には「それを差し替えれば、とにかく他のクイズアプリと比べて雑学密度がとにかく濃いモノだ」と自負していたのですが、最終的な評価は「このアプリ最低」という状態となってしまった。

そんな最低評価まっしぐらの8月4日に有料版が2本リリースされた。
でも、ダメだよなぁ。
書籍と違って立ち読みが出来ないからこそ、無料版を出しているのに、その無料版が「最低評価まっしぐら」なので、有料版を発見した人が「有料版の前におためしに無料版で……」とダウンロードしようとしても、そこには「間違っています」と言う文字が燦然と輝いているワケです。
もし自分が第三者だったら「無料版はタダだからやってあげてもいいけど、これって間違い多くて信じると恥かくんだろ?」と思いつプレイして、有料版は買わないよなぁ。残念ながら。
どんなアプリも、出版物も、音楽も、初動の1ヶ月が一番大事なのに、無料版の修正が入ったのが有料版が出てから1ヶ月後。
「売れないように!」というネガティブな宣伝を自らしているような感じだったのだ。
圧倒的に「★1つ」という最低評価のアプリになってしまい、それが有料版にも影響を多大に与えている。
この辺は、舞台裏として本来は書かないほうがいい部分なのかもしれないが、そんなの隠していてもしょうがないし、良い時ばっかり発表して、失敗を隠蔽するのは、個人的に好きじゃないので書いてしまいます。そして「遊んで下されば、絶対面白いアプリだと自信を持っていえます!」という事なのだ。自分が10年以上に渡って築き上げてきた「知泉」というブランドを失墜させるような、色々な事に対して、すごく憤りを感じている。
もしかしたら、こんなブログを書くことで制作会社から「アプリの話は無かった事に」と削除されてしまうかも知れない。でも色々な事が起こっている事、マイナスな部分も含めて報告するって事が、利用者に対しての誠意だと思っている。知泉という名前で発表しているアプリなので、全部その辺は自分自身が責任を負っていかなければいかないのだ。
そして今は「間違ったクイズ」は修正されているので、安心してプレイして下さいませ。
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