2012年11月21日 (水)

AKB48グループとジャニーズ

2012年オリコンTOP20がついにAKBグループとジャニーズのみ http://himasoku.com/archives/51750643.html という事で話題になった。


こういう状況に関して世間では「最近の日本の音楽は終わった」「あんな売れる事だけを狙った曲しかないのか」「ちゃんとした曲を作れ」との批判もある。
でもね、そう言う人に言いたいんだけど、AKB・ジャニーズ以外にもあなたの想像出来ないぐらい大量に音楽は出回っているよ。
AKBとかが売れたせいで他の曲が売れなくなったというワケじゃない。
単純に音楽CDは売れなくなったというだけの話で、それが直接AKBの関係は少ないと思う。

AKBのせいで日本の音楽が崩壊したんじゃない。もしAKBとジャニーズの存在がなかったらみんなが他のCDを買うようになるか?というと買わない。逆に日本の音楽産業は半分以下のレベルになるんじゃないかと。
ネットで違法DLされる、YoutubeでPVを見ることが出来るなどが原因だとする事も簡単だけど、単純にみんなが買わなくなっただけの話。そもそもAKBのせいで日本の音楽は終わったと言う人はどのぐらい音楽に金を使っているのだろう?

少し前の調査で「1ヶ月の音楽にかける金額0円が68%」とかあったけど、他の娯楽に金掛かるので音楽には金使わないよね。たとえば4000円もする「とびだせ どうぶつの森」が初回出荷60万本+DL版20万本とか記録しているのにさ。
ただし「最近は音楽が売れなくなった」という話はだいたい1990年代のCDバブルの時代を基準に語られる事が多いんじゃないかと思う。
ちょうどレコードからCDに切り替わった時代で、バブルは弾けちゃったけど、今思うとまだまだ景気は良かった時代。
100万枚を超えるヒット曲が年間10曲近く出ていたけど、それはあの時代が異常だったワケで、1980年代まで遡ると100万枚を超えるヒット曲は年に1回か2回という感じで、出ない年もあった。

そして今は「AKBやジャニーズ以外は全然売れない」と成っているけど、80年代に比べて発表される楽曲の数が半端なく多い。大手だけじゃなく、弱小やインディーズ系も大量に曲を出している。アーティストが増えたのと同時にレコードプレスみたいな大規模な設備が無くてもCDを作る事が出来る現状が大量のリリースを生み出していると思う。
多くのアーティストと音楽趣味の分散した現在、昔みたいなヒットをあまり生み出さないのではないかとも思う。
これからCD制作よりもっとコストのかからないネット配信がメインになってくと、さらに楽曲が増えていき、1曲に人々の興味が集中する事がなくなっていき、100万枚ヒット(枚とは言わないか)は遠くなっていく。

その虚を突いたような「握手券」「投票券」で売上げを伸ばすアーティストも出てくる。
でもCDに握手券をつけるなんて、90年代から一部のアイドルでは行われていた事だし、最近は普通になったカップリング曲違いとか、トレーディングカードが入っていて何枚も買わないとコンプリート出来ないとかも90年代から行われている。
それらのAKB楽曲と自分が応援しているアーティストが同じ土俵の上でオリコンなどで順位を決められるのは、凄く腹立たしい事かもしれないけど、それはあくまでもビジネス的な問題。
それを嫌だと思う人は自分の好きなアーティストの楽曲を買って、支えていけばいいんじゃないかと思う。もう順位とか枚数とか関係ない時代だと思うよ。

いや、アーティスト側からしたら売れて順位が上がって注目されるにこした事はないけどさ。

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2008年12月14日 (日)

レコードコレクター

昭和歌謡曲の若き伝道師なんて大仰なキャッチフレーズを付けられてしまった半田健人さんがいます。
現在、静岡のSBSラジオでも作曲家・林哲司さんと音楽についてあーだこーだ言う番組を持っているのですが、確かに70年代歌謡曲に関しての知識は凄い。そして愛も深い。


この番組のディレクターと以前色々話した時に「でも半田さんは自分はリアルタイムじゃ無いという事を嘆いている」と言いつつ「でも逆に後乗りで、資料として整えられた物を時系列に俯瞰で見るので、データ的な方向から冷静に系統だって見ることが出来る」という事を話した。
という事で、その半田さんが朝の番組に生出演する事になって、番組的に「それに対抗しうる歌謡曲マニアの素人を」という事になったんだけど、頑張って色々なツテで探し回ったが半田さんと話が出来る人を見つけ出す事が出来なかったらしい。
という事で、いきなり火曜日に連絡があって「金曜日に出演してくれますか?」という展開になった。
別にその辺は全然問題ないので了承し、相変わらずの感じで出演し、それなりに半田さんと意見の合う箇所も多く番組はつつがなく終了した。

取りあえず整理されているシングル(約5000枚)&CD(約3000枚)
002008121401
番組終了後に、半田さんみたいに芸能人として「70年代歌謡曲に興味あります!」と宣言した人は自然と凄い事になちゃうんだよねという話も出た。
ファンの人や、同じく歌謡曲好きの人から珍しいレコードが寄せられたり、「都倉俊一さんが好きです」と宣言すると仕事の一環として都倉さんとの対談がブッキングされ、現場での裏話などを聞くことも出来、それまで素人で「歌謡曲好き」なんて言っていた人とは一段上のステージにあがっちゃうのだ。
それに負けない部分でこっちも対抗しなくちゃいけないのは大変だなぁって、別に勝ち負けでやっているワケではないからいいんだけど。
という事で、翌日、話は展開していく。

土曜日に近所で買い物をしている時にディレクターから「昨日の放送を聞いたリスナーの方が連絡を取りたいと言っているのですが」という電話を貰った。
うぬ?と思い、教えて貰った番号に電話をすると「レコードを沢山集めているという事だったので、我が家のレコードを処分しようと思っていたのですが、よろしければ杉村さんに寄贈したいのですが」という事だった。
普通に音楽を聴いている人のレコードにはそんなレア物もないだろうなぁと思いつつ、家も遠くなかったので引き取る約束をした。
そして日曜日、静岡県東部清水町(三島市と沼津市の間)にある杉山バラ園が近いという事でここで引き渡しとなった。

未整理シングルの一部(約2000枚)
002008121402やってきたTさん夫婦は年の頃なら60歳前後で、約100枚ほどのシングル盤と30枚ほどのアルバムを持ってきてくれた。これと言って掘り出し物は……、と思っていたのですが、そこには「いしだあゆみ」や「黛ジュン」「伊東ゆかり」「奥村チヨ」などなど、自分が幼稚園から小学校時代に聞くとは無しに耳に入ってきた音楽が大量にあった。うひー、自分の守備範囲外だったのが逆に嬉しい!ついつい、自分が音楽を真剣に聞き始めた以降の曲を中心に集めてしまうので、これは嬉しいっす。
特に森山加代子の「白い蝶のサンバ」なんてのは涙ものっす。
この曲、幼稚園か小学校低学年ときにメロディの気持ちよさと「蝶々」が出てくる事から何故か気に入っていてしょっちゅう歌っていた記憶があり、その都度「子供がそんな歌を唄っちゃダメ」と親に怒られていた。
なんせ「あなたに抱かれて私はチョウになる♪」ですからね。
これがヨナ抜きメロディで上から下に移動する音も気持ちよかったらか、とにかく歌っていた記憶がある。

CDシングル(約3000枚)
002008121403本当に「ラジオに出ていてよかったぁぁぁぁぁ」と感じております。
今回、いただいたレコードすべて磨き直して袋が弱っていた物は新しい物にして、データベースに入力して、1枚1枚じっくり聞き直しています。ありがとうございます。
以前、会社の同僚にレコードをどうしている?と聞いた時に「中古屋でも二束三文らしいのでゴミの日に出しちゃった」と言う意見があってショックを受けた事がある。
今は興味無くなってしまった物かも知れないけど、その一時は心を和ませたり奮起させてくれたレコードを捨てるなんて……可哀想すぎるじゃないか!捨てるくらいなら俺にくれれば、未来永劫大切に保管してやるのにぃぃぃ!と心の中でジタバタしたのだ。

そんなこんなで、ラジオの中でも言ったけれど「コレクター」という言われ方にはちょっと抵抗がある。音楽が好きで好きで、気が付いたらいっぱい持っている人になってしまったというだけの人なのだ。
俺の事をコレクターと呼ぶんじゃねぇ!と言いつつ、説明が面倒くさいのでついつい「レコードコレクターでいいや」と折れてしまう私もいる。
という事で、レコードを捨てるくらいの勢いで処分したい方は(お近くの方になってしまいますが)杉山バラ園にまでお届けくださいませ。私がレコードの余生を見守りますので。

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2008年11月 4日 (火)

小室哲哉が5億円詐欺で逮捕

2008110401いやぁビックリしました、小室哲哉が5億円の詐欺で逮捕っすか。
著作権をめぐる譲渡がどうしたこうしたって話の詐欺かぁ。
確かに「著作権」というと当然、作詞や作曲をした人が全権を持っていて、譲渡だろうとか売上げだとかを単純に自由に出来るんじゃないか?とか思ってしまうんだろうけど、実際にはかなり複雑な仕組みになっている。ダマされた人がそれを理解出来ていなくても当然だと思う。


でも、実際の話では事務所を移籍したアーティストがそれまで自分で創ってきた楽曲を一切歌えない状態になるとか、歌うためには前事務所に使用料を支払うとか、はては勝手に歌ったために訴えられたとか、色々な問題が時々起こる。
自分レベルのアマチュアでさえ、かつてポプコンに出場した際に「今回の大会が終了するまであなたの作詞作曲した楽曲はすべてヤマハ音楽振興会が管理しますので、大会と関係ないイベントでは歌わないように」という契約書にサインさせられた事がある。

2008110402しかし小室哲哉というブランドは2000年頃にはすでにかなりダメな印象があって、象徴的な2000年沖縄サミットでの安室奈美恵の『NEVER END』の時には「今さら小室?」という声も多かった。確かに60万枚売れたが、小室&安室、そして沖縄サミットというイベントでこの枚数は少ないと思う。
とりあえず各国首脳が「サミットに来ているのになぜワケ解らない極東の歌手のコンサート見なくちゃいかんのだ?と呆れた顔で聞いていたのを記憶している。

とかなんとか言っていますが、小室哲哉は90年代を無茶なスピードで駆け抜けた感があるわけですが、何が凄いってやはり売上げ枚数。
歴代の作詞家・作曲家の総売上げ枚数で小室哲哉は「作詞家部門3位」「作曲家部門2位」なんすよ。
作詞作曲、両方でこの数字ってマジ凄い。他の専業作家が30年とかコンスタントにヒット曲を出し続けた結果ではないってのを考えると。
個人的には小室哲哉というと、80年代初期にTM-NETWORKでデビューした「金曜日のライオン」のプロモーションビデオで初めて知ったワケですが「あぁ日本版ハワード・ジョーンズだ」と思ったのが最初の印象。
ビデオも安い感じの作りで、ワニのお面をつけた女の子が異常に踊りが下手だった事にばかり目がいってしまった。

200811040380年代は渡辺美里「My Revolution」とか、小泉今日子「Good Morning Call」とか、アルバム曲だけど原田知世「家族の肖像」とかいい曲もあったんだけど、いわゆる小室ファミリーとか言われ始めたバルブの頃には「この人、持ちメロディが少なくコード進行がほとんど同じだけど何故こんなに売れているんだ?」と理解出来ない売れ方をしていた。
それについて行けなくなった時に「あぁ俺も現時点で流行っている歌の良さが理解出来ないオッサンになったか」と感慨深く思ったものなのだ。

詐欺がどうこうって話の流れはよく解らないし、色々な事業がダメ続きだったってのも桁が大きすぎて論じるレベルじゃないんだけど、ホリエモンなどに象徴される「ベースが何もないのに金を転がすだけのマネーゲームの人」ではなく「ゼロからモノを作り上げる人」なので、基本的に金の使い方を知らなかったんだろうし、その金を大きく資産運用していこうなんて才能も皆無だったんじゃないかな。
でも、基本的に「クリエイター」であると思うので、すべての禊ぎをすませ出所してきた後はちゃんと本来の自分に戻って、巨大なマスを相手にする必要もない楽曲を造って欲しいと思うのだ。

ついでに昔書いた小室哲哉に少し関係あるページ
キララとウララ「センチ・メタル・ボーイ」

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