2006年8月 5日 (土)

渡辺満里奈「大好きなシャツ-1990旅行作戦」

2_1渡辺満里奈/大好きなシャツ-1990旅行作戦
作詞.作曲.編曲.DOUBLE K'O' COPRATION
Epic Sony/ESFU 7204/¥1200


ここの所、知泉的音楽夜話では「チェリッシュ」や「松尾ジーナ」という、完璧にアクセスにはほとんど影響をしないようなピンポイント攻撃が続いていたので、誰でも知っているような人ということで渡辺満里奈
と言っても歌手としての活動は一部の人にしか知られていないのでは(ちびまる子ちゃんの主題歌を歌っていましたが)状態ですが。

1986年10月8日 1st「深呼吸して」
2_2現在、彼女の本名はナグラマリナという、ドラグラマグラなのかマグナカルタなのかという状態ですが、実は彼女が本格的に歌手活動をしていた時期、自分は全然興味ありませんでした。
というのも80年代中期からの「おニャン子クラブ」という存在について「俺の好きなポップスを馬鹿にすんのか!やんのかてめえ!」状態で嫌悪していたという背景もあって、その中にいた渡辺さんも「歌謡曲を堕落させる要因」として無視しておりました。

1987年1月1日 2nd「ホワイトラビットからのメッセージ」
2_3で、渡辺さんの曲をちゃんと聴いたのが『大好きなシャツ-1990旅行作戦』という曲でした。
タイトルにあるように1990年にリリースされた曲で、すでに忌まわしきおニャン子は解散していたんですが、実はこの曲を聞いたのが、アナログ版でもなく、CDでもないのです。
実は「CDV」という今は無き特別な規格のディスク(見た目はCDなんですが)で、当時は「レーザーディスクみたいにばかでかくないCDサイズディスクでも映像を見ることが出来る!」という画期的な規格として発表された物だったのです。

1987年4月8日 3rd「マリーナの夏」
2_4今ではDVDで2時間以上の画像を見る事ができますが、この画期的なCDVはなんと最大5分の映像を見る事が出来るのです。ということで、数社がシングル曲のプロモーションビデオを収録した物を発売開始したワケです。と言っても、現在誰も知らないように、この規格は見事に空振りをしまして、最初の思惑とは違ってリリース本数が増えず....。
実際に言うと、5分という短さがネックになっていて、当時はシングル5分を越すような曲、あるいはビデオの前後にドラマ部分があったりして5分では完全版を収録出来ない楽曲が多かったというのも原因みたいです。あと5分の映像で1200円という値段設定もきつかったかも知れません。
自分は新しい物好きって事で、つい手を出してしまったんですが、リリース数が少なかったので、あんまり興味がないアーティストの曲でもCDVが発売されていると購入していまして、その中にこの「渡辺満里奈/大好きなシャツ-1990旅行作戦」も入っていたワケです。

1987年7月15日 4th「夏休みだけのサイドシート」
2_5曲は実にポップで軽く楽しい曲。実はこの作詞.作曲.編曲をしているDOUBLE K'O' COPRATIONは、かのフリッパーズギターの小沢健二と小山田圭吾の変名。
この曲で見事にはまってしまいまして、この曲が収録されているアルバム「a piece of cake!」を購入した所、かなり楽曲のレベルが高かったため、過去の作品を後追いで購入するようになったんですが、やはりデビュー当時は「おニャン子の悪夢」そのまんまの音程の酷さと声質をコントロール出来ていない感じが痛々しくて...。

1987年11月11日 5th「ちいさなBreakin' my heart」
2_6渡辺満里奈という人は基本的にキーが低く、明るめの声ではないので、初期の曲調や歌い方が辛かったワケですが、途中からスタッフもそれを理解したような感じで、いわゆるその後のサブカル系大好き路線に流れていく道筋が曲調にもチラホラしておりました。

当時、音楽通の間で「オシャレじゃん」と言われていた、フェアグランドアトラクションもどきの曲とかを(渡辺満里奈とフェアグランドのファン層は重ならないので発覚しにくいとは思いますが、かなりそのまんま)歌い始め、オシャレ音楽の総本山「渋谷系」のフリッパーズギターにたどり着いたという感じなのであります。
この曲前に、彼女が出演していたドラマ「予備校ブギ」の主題歌にフリッパズギター「恋とマシンガン」が使われていたという繋がりもあったと思うんですが。
もっともこの曲で渡辺満里奈と知り合ったフリッパーズギターの二人が彼女を取り合って仲違いの末、解散してしまったワケでありますが(あくまでも、まことしやかなウワサ)。

アルバム『a piece of cake!』
Apiece2※フリッパーズギターに関しては、最初バンドデビューした直後、小山田がバイク事故で入院することとなり活動停止→解散したんですが、小山田の入院していた病院に宮沢りえの祖父が入院していると聞きつけた小沢が「もしかしたら宮沢りえに逢えるかもしれない」と何度も見舞いにいっている間に「二人で再デビュー」という事になったとされてるグループなので、その解散がそれってのもなんか象徴的でもあります。

大瀧詠一プロデュースアルバム『Ring-a-Bell』
Ring2自分が渡辺満里奈という歌手を聞き始めた時はすでに歌手活動末期だったんですが、その後「はっぴいえんどトリュビュート」に参加したり、ちびまる子ちゃん主題歌(大瀧詠一作曲)を歌ったり、さらに大瀧プロデュースでミニアルバムを出した時に大瀧の関係で佐野元春の作詞曲を歌ったり、自分的には「なんでこの人は自分の琴線に触れるような活動するのかぁぁl!」という状態で、好き嫌いとは別になんか自分が購入する曲の前に登場するような感じで、いわゆる「オシャレと言われる場所には数歩前に渡辺満里奈が立っている」という状態を体験したわけです。(あとウルフルズとか、奥田民生のプロモーションビデオとか)
その存在とかは別として、渡辺満里奈の後期作品は今でもiPodに入っております。

P.S.
現在CDVを見る事が出来ないっす。
ハード的な物も探しているんですが、なかなかお目に掛からない状態っす。
手元に20枚ほど持っているんですが.....

実はこのCDVの映像5分というのはディスクの外側に記録されていたもので、その内側は速度の関係から映像が収録出来ずに音声のみを収録出来るトラックが存在していた。
実はその後発売されたシングルCDというメディアは日本独自開発の物で、このCDVの音声トラックから発生したサイズ。

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