レイジー「赤頭巾ちゃん御用心」
レイジー「赤頭巾ちゃん御用心」
作詞.杉山政美/作曲.都倉俊一/編曲.都倉俊一
1978年/¥600
RCA/RVS-1112

この1978年というのは、ちょうどベイシティローラーズを始めとしたロックアイドルブーム時代となっていて、それに便乗したかのようなデビューだった。
イントロ部分でボーカルの左右にギター&ベースが並び、簡単な足を使ったフリがあり、よく友達とそれをマネをした記憶がある。
もっとも自分はこれに憧れてマネをしたワケじゃなく、ある意味「歌謡曲ロック」をバカにしたような感じでマネをしていた。歌謡曲は大好きだったが、なんかバンド形式の歌謡曲に関しては釈然としない部分があって、ちょいと批判的だった。もっとも楽曲自体はちょうどピンクレディを当てていた時代の都倉俊一なので、文句なしにポップでいい曲なんですが。
おそらく「ケッ歌謡曲ロックかよ」というのは、レイジー自身も感じていたと思う。

で、それを見てスカウトしたのがかまやつひろし(本日2009年1月12日で70歳!)で、デビューに当たってプロデュースしたのが元アウトキャストの藤田浩一。
このアウトキャストというのは以前キャンディーズの話(2006年4月23日)で書いたけれど、渡辺プロダクション初のGSバンドで、メンバーに後に作曲家になる水谷公生と穂口雄右が在籍していた(この二人がキャンディーズの楽曲の多くを作った)音楽性の高いバンドだったのだ。と同時に後の歌謡界に多大な影響を与えている。

ついでにニックネームも勝手に決められた。
左にある「燃えろロックンロールファイアーのジャケット右から、ベースの田中宏幸はファニー、キーボードの井上俊次はポッキー、ボーカルの景山浩宣はミッシェル、ギターの高崎晃はスージー、ドラムの樋口宗孝はデイビー、と名付けられたのもかなりキツかったらしい。
ちなみに、1stアルバムでは都倉俊一以外にかまやつひろし、そして何故かユーミンも書き下ろし曲で参加している。
1978年11月号「月刊明星」

もっともアイドル的バンドとしての人気は長く続かなかった。
というのも、このヒットと前後して「サザンオールスターズ」や「ツイスト」といったバンドがデビューして、作られたイメージのバンドは一気に過去のモノとなってしまったのだ。
もっともサザンもツイストもデビュー当初はアイドル仕事をさせられて、同様に「月刊明星」「月刊平凡」の表紙を飾っているが。
サザンもデビュー当時はコミックバンドの扱いで、演出としてオリに入れられたり、宙づりにされて歌わされ、それらの辛さを「働けロックバンド(アルバム『TINY BUBBLES.』収録)」で歌っているが、レイジーもかなりきつかったと思う。
1979年4月号サザン、同年6月号ツイスト

が、事務所的には普通の歌謡番組をブッキングする事が多く、「NTV紅白歌のベストテン」なんかにも出演していたが、末期は普通に夜8時にお茶の間で聞くような種類の曲ではなくなっていて、バリバリに違和感を覚えた。
結局、レイジーは1981年に解散し、ギター&ドラム&ベースはハードロックバンド「ラウドネス」を結成(ベースは正式デビュー前に脱退)し世界的に活躍するバンドになる。ベースのファニー(田中)はキーボードとポップスバンド「ネバーランド」を結成。ちなみにレイジーのラストシングル「星のハーティー・ロード」は実質的にはポッキーとファニーの二人だけしか参加していない。
そしてボーカルのミッシェルは景山ヒロノブとしてソロ歌手になり、ドラゴンボール主題歌「CHA-LA HEAD-CHA-LA(130万枚)」などでアニメ系歌手として大成功を収めている。
ちなみに1998年に復活をしているが、その時に景山ヒロノブは「赤頭巾ちゃん御用心」を歌うのなら再結成はしない」と言っていたほど、この曲のアイドル的イメージが嫌いだったらしい。
3年でこうなりました。

実はベースのファニーこと田中宏幸さんも2006年9月1日に急性心不全によって亡くなっています。
自分がリアルタイムで聞いていたバンドメンバーの訃報をこうやって聞くようになってきたというのは、なんか辛いっすが、残した音楽は永遠に聞き継がれていく事だと思います。
冥福をお祈りしつつ、楽しい音楽による時間に感謝いたします。

で、この「赤頭巾ちゃん気をつけて」を始めとするシリーズの中で主人公が何度も美人ピアニスト中村紘子の事を語っている。たとえば「中村紘子さんみたいな若くて素敵な女の先生について(いまの先生はいいけれどおじいさんなんだ)優雅にショパンなど弾きながら暮らそうかなと思ったりもするわけだ。」などと書いている。それによって中村紘子と雑誌などで対談のきっかけを作り、公演旅行で自宅を留守にする機会が多いという事で自宅勤務の庄司薫がネコを預かるなどしているうち、最終的には結婚してしまったのだ。そうか、その手があったのか!
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