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2013年2月23日 (土)

似ていたって気にしない!

自分は音楽におけるパクリと言われる物にかなり寛大だと思う。


〈石川秀美「もっと接近しましょ」〉

というか「この曲の元ネタってこれだろ」と発見した時にニヤリとして、ちょっと嬉しくなってしまう。
それは偶然だったり、作者の趣味がポロっと出てしまった物だったり、色々な理由があって似ている曲を作ってしまったという背景が見えるから、楽しい。
中にはネットなどで「犯罪だ!」「泥棒!」とか必死に叩いている人も見かけるけど、似ている曲って楽しいじゃんって思わないのかな。
そういう盗作糾弾を必死にやっている人ってのも純粋でカッコイイなあとほっこりしちゃうけど。

自分の場合、そもそもその手が好きになったキッカケが筒美京平という天才作曲家を中学の頃に好きになった事があるのかも知れない。
筒美京平は引用の美学というか、洋楽をいかに日本人向けに構築し直すかという作業に長けている人で、オリジナルとされる洋楽と聞き比べると「筒美作品のほうがいいじゃん」と思ってしまうから。
それは人によっては盗作と呼ぶ事もあるのかも知れないけど。

〈シーラE「グラマラスライフ」〉

音楽って基本的に凄く狭いルールの中で作られる物で、さらに人が気持ちいいと思うメロディ展開なんて極々限られた物なので、似せようと思わなくても似てしまう物。
似ているを排除し始めると、音楽にジャンルという物は存在出来なくなる。
自分なんてのも音楽をグダグダと始め、作詞作曲なんてものを始めた中学時代。そのキッカケは「あんな曲を作りたい」という物だったし、「ワシは日本のビートルズになるんや」とか妄想を爆発させていたワケで、その選達にいかに近づこうかという感情からスタートしていた。
カバーとか模倣と言うことではないけど、どっかしら好きだったアーティストの影響を受けてしまう。中には後から聴いて「これってアレじゃん!」とビックリするような自動書記で寝ている間に無意識に盗作したんじゃないかと思えるような、ソックリさん曲を作ってしまった事もある。

そんな中で色々、あまりにもソックリすぎて「ソレ盗作デショ」と指摘されて問題になっちゃう曲というのもある。以前、八神純子の「パープルタウン」の話も書いたけど、あれは実は冷静にメロディを聴いていると違う曲だけど、アレンジのせいで激似になってしまったというパターン。
それに対して、石川秀美の歌った「もっと接近しましょ」はメロディとアレンジが同時に激似という曲。このラテンパーカッションが中心になるアレンジが偶然に出来たとはなかなか思いにくい。
そしてエピソードとしては、歌っていたシーラEは当時ブイブイ言わせていたプリンスファミリーの人で来日した事があるんですが、その来日時にちょうど石川秀美の「もっと接近しましょ」がリリースされテレビで歌われていた。
それを見たシーラEは「私の曲を日本人がカバーしている」と感激してしまったという。

〈石川秀美「Mr.ポリスマン」〉

石川秀美は他のシングルを聞く限りでは凄くオーソドックスなアメリカンロック寄りの曲を歌っている人なんだけど、この曲だけは異質。なんでこんな感じになちゃったんだろうと思う。作曲の黒住憲五はこの曲ぐらいまでは時々名前を見かける方で自分も歌を歌っていた人ですが、この曲以降名前を見かけなくなったような気がするので、曲自体は裁判になったとかは聞いていないけど、裏で色々あったのかも知れない。でもアレンジの入江純もかなり関わっているとは思う。
で、石川秀美というとこの曲が似ているという話題が大きいけど、もう一つ、最大のヒットだと思われる「Mr.ポリスマン」にも似ている曲がある。それはフレンチポップスの歌姫シルヴィ・バルタンの「Fumee」という曲。
こっちは「もっと接近しましょ」みたいな激っぷりはないけど、聞いていると「下敷きにしましたよね」という感じがジワジワ来て楽しい。

〈シルビーバルタン「Fumee」〉

って、盗作だとか、イカン事だとか、言うのとは別に似た曲は、作り手の色々な事が想像できるので楽しいし、もし好きな曲にそっくりな曲を発見した場合も憤慨じゃなく「好きなタイプの曲が増えた」ぐらいに思ってしまう。
音楽は楽しいよ。

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