歌詞は時代と心中をする
昨年、PRINCESS PRINCESSが復活して大晦日の紅白歌合戦で復活興業終了、もう二度と復活しない宣言みたいな事を言っていた。
▽〈PRINCESS PRINCESS「Diamonds」〉
PRINCESS PRINCESS「Diamonds」
作詞:中山加奈子/作曲:奥居香
1989年4月21日:CBSソニー
PRINCESS PRINCESSがいくつかの音楽番組に出て歌っているのを見かけて、懐かしいなとは思ったけど、全盛期を知っていると「ああああ」と思う気持ちは強かった。
演奏がやはり「復活しました、久々にやってます感」がありありで、冨田さんのドラムがドッタンバッタンしていたり、そして歌手活動をずっとやっているハズの奥居さんのボーカルに張りが無くなったなあとか、技術的な部分で評価しちゃうとどうなんだろという感じもしちゃう。
見た目がPTAの謝恩会の余興っぽいッてのはこの際、置いておく。
自分は全盛期の時も現在もテレビなどでチェックしている程度の人なので、その辺で評価しちゃうワケですが、実際にライブなどに行くようなファンにとっては「再びライブを体験出来る」というのは大きかったとは思う。

音楽のメロディはすでに懐メロも今の曲でも流行りは何周もしているので、新しいと古いは関係なくなっていると思う。自分が学生の頃もすでに「GS風の曲」「オールディーズ風の曲」が一定の大人を懐かしいねえと思わせつつ、若者にこの手の曲あんまり無いのでカッコイイねと思われていた。
例えば80年代ではヴィーナスの「キッスは目にして」がオールディーズ風だとか、桑田佳祐が書いた「私はピアノ」がGS風だとか。普通に受け入れられていて、すでにその時の曲ですら懐かしい時代に入っているので、そういう意味で音の古さは古さで無くなっている。
その中で歌詞は「今」を切り取ると、あっという間に古くなる。
この「Diamonds」の中にある歌詞、1989年に書いた時にこれが古くなるとは思っていなかったと思う歌詞が「ブラウン管じゃ解らない♪」という部分。
2011年の地デジ移行で完璧にブラウン管テレビが駆逐されてしまったワケで、あと10年ぐらいした時に若い子がこの曲を聞いて「ブラウン管って何?」と思ってしまうのではないかと。
他には「針が降りる瞬間」というレコードを想定した歌詞も、かなり解りにくくなりつつある。
でも実はこの「Diamonds」という曲はレコードからCDに移行する過渡期のヒット曲で(1988年、CDの総売上げがレコードを抜いた年)、CD音源としてリリースされたシングルとして最初のミリオンセラーとも言われている。そう考えるとレコードの鎮魂歌なのかもしれない。
古くなっちゃう歌詞というのはリアルな今を歌う場合には避けられない部分だし、逆に後で聴いた時にその時代にタイムスリップ出来るという意味もあるかも知れない。
って、その部分を怖れていたら作詩なんて出来ない。
▽〈パトレイバーED曲:KISSME QUICK「MIDNIGHT BLUE」〉
という時代とズレてしまうという詩として思い出すのが1988年に放送されていたアニメ「機動警察パトレイバー」のエンディング曲として使われた『MIDNIGHT BLUE』という曲。作詞:有森聡美/作曲:佐藤英敏でKISSME QUICKというバンドが歌っている。
このバンドは調べても何も情報が出てこない。この曲ですらレコードのA面が仁藤優子が歌うパトレイバーの主題歌「そのままの君でいて」で、そのカップリングという扱い。
作詞の有森聡美はアニメ系の作詞をやっている人で、80年代から90年代の人って印象だけどそれ以上情報はない。
で、当時聴いて「これはどうなんだろ」と思った歌詞が「♪夢に引きずられ 俺は汗まみれの Lonely/話相手のTVスウィッチ引っぱる♪」という部分。
テレビを点けるという表現として「スウィッチ引っ張る」てどうなのよと思った。ついでに「スイッチ」ではなく「スウィッチ」ってどうなのよと。
このテレビって大昔のチャンネルがちゃがちゃ回すヤツだよね。今のテレビでスイッチ引っ張る方式ないよねと、これが放映された1988年ですらそう思ったけど、アニメの設定はそれから10年後の近未来。どうなんだろと引っかかってからすでに設定年1998年を通り越して15年が経っている。
最近のコメント