訂正し続ける人生
10年前ぐらいから「最近の子供の名前はトンデモない事になっているぞ!」という話題がよくされている。
もう今は一時期のカオス状態を脱したと言われているけれど、日本は本当にどこへ向かっているのかよく解らない。
あと20年ぐらい経つと、仕事の場で「初めまして田中ピカチューです」とトンデモない名前の名刺を差し出して来る人が出現してくるという事なのだ。
って、この手の変な子供名で例としてよく出てくる『光宙』と書いて「ピカチュー」と読む名前は、実際には確認された物ではなく、もともとは2ちゃんねるの「最近の子供の名前で変なのあるよな」という主旨のスレッドにネタとして書き込まれた物らしい。それが一人歩きして実在しているという事になったとか。
話は逸れるけどネット掲示板は情報収集に便利だけどコノ手のネタも多々含まれていて「変わった苗字」という事で掲示板に書き込まれた苗字には、存在しない物が結構多くて、元々はネタだったり、漫画の登場人物や相撲の四股名だったりなどが混ざっている。
それだけならばいいのですが、最近多いネットで拾ったネタで裏取りもせずに本を作る安易な編集者によって書籍に掲載され……、と拡散されていく。
それによって珍苗字を研究しているプロの人が混乱させられる事も多くなったという。初めて聞いた名前だけど「もしかして」と思って調査していって結果はネタだったとかが多いという。
そんなこんなで「変わった子供の名前」という話題にも注意は必要なんだけど、ネタ以上に本気で変な名前は多い。
その中で、名前としてはトンチンカンでも漢字をそんまま読めば、読めなくもないという物はまだいい。
でも絶対にその漢字表記ではそう読めないだろぉという物も多々ある。
『宝石』と書いて「ティアラ」ちゃんとか実在しているらしいけど、ティアラという名前が日本どころか英語圏でもあり得ないだろ、という以前に『宝石』はそもそも英語ではジュエリー(jewelry)でティアラ(tiara)は冠の一種ですから、二重に無理という事になる。
有名な所では『海月』と書いて「海=マリーン=まり」&「月=ムーン=む」で「まりむ」という名前。絶対読めない、つーかその前に「海月」と書いた場合、学校の試験では「クラゲ」と読むのが正解ですから。
当然、親だって子供の事を考えて漢字を選んだりするんだろうけど、個人的にみんなそれは平気なの? と思う物に「亜」という漢字がある。
亜美とか普通に使っている漢字だけど、実際にはこの「亜」という漢字には二番煎じ、二流、粗悪みたいな意味合いが含まれている。だから「亜流」とか「亜熱帯」とかに使われる。ついでに「亜」に「心」を合わせると「悪」という文字になる。
だから昔から「意味を考えた時、どうなのよ」と思っている。
その手のネタは山ほどあるんだけれど、今自分が難しいのは、ラジオみたいな媒体で仕事をやっていると「◎◎◎◎って書いて▽☆◇△って読む赤ちゃんの名前があるんだけど、ちょっとそれはバカっぽすぎないか?」みたいな事を書いたり喋った時、その向こう側でそのものズバリの人がいる可能性があるという事。
以前、ラジオでその手の話題をパーソナリティが喋った時も凄く気を使いつつ「困った名前が多いよね」という話題をしていた。
ついでにラジオで「レモン」というテーマの雑学を喋った時に『日本ではレモンというと爽やかで青春っぽいイメージがありますよね、だから女の子でもレモンちゃんなんて名前があったら可愛いですよね』と話をした時に、パーソナリティのみのりんが「アタシの友達の赤ちゃんもレモンちゃんっていうんですよ」と言いだした。この時、あちゃーっと思ってしまったのだ。
なんせ、その続きが『実は英語圏では女性にレモンとアダ名を付ける時、それは酸っぱすぎるので「扱いにくい女」とか「手に負えないじゃじゃ馬」ってイメージなのです、ですからレモンちゃんと名前を付ける場合は要注意です』と喋る予定になっていたワケで、その時はアドリブでちょいと柔らかい表現で逃げざるを得なかった。
でもって、難しい漢字の読みをする難読名の問題は、付けられた子供はおそらく小さな頃から「なんて読む?」と逢う人逢う人ごとに聞かれ、それを説明をする人生を歩むって事なんだと思う。あるいは間違った表記をされて、その都度訂正をする人生を歩むのだ。
一生を考えると、どれだけその事で患わされる時間を費やすのだろうか、と勝手に心配してしまう。
「個性的でいい」と名付けた親は言うかもしれないけど、名付けられた子は一生逃げる事も出来ずに付き合わなくてはいけないのだ。
自分の場合「喜光」という名前で、普通に読めるし、難しい漢字を使っているワケではないけど、これですら子供の頃から何度も「善光」と書き間違えられてきた。
まず小学校に入学した時の名簿が「善光」だった。その後も何度も間違えられ、通信簿ですら間違えていた事がある。中学に上がって、先生が書類に押すために作ったクラス全員の名前のハンコ、自分の分はやはり「善光」でした。その都度訂正して、書類やハンコを作り直してもらってきた。
その後の人生で何度も「善光」を経験し、社会人になってからも入社時の名簿からまず「善光」、その後のタイムカードの名前も、給与明細も、その都度直しているのですが、新しく何か名簿などが出来るたびに「善光」。
結局3つの会社を渡り歩きましたが、そのどの会社でも必ずどこかで間違えられる。ついでに2つ目の会社にいた時、外部へ出向した際もそっちの会社でも「善光」。
最後の会社は都合15年近くいたけれど、最後の方になっても新しいシステムに社員の名前が機械に登録された時も「善光」、もうその頃は諦めて訂正もしなくなっていました。
何故なのか不明だけどそういう事が続き、レンタルビデオの店で登録した時に自分で書類を書いて身分証明書で免許証も提示したハズなのに、向こうのシステムには「善光」で登録されていて、システムが変わるって事で身分証明書を求められた際に「名前が違っていますので契約更新出来ません」と言われてしまった。
そんなに難しい名前じゃねえだろぉぉぉ!
先日、我が家に届いた手紙の宛名がことごとく「善光」だったのだ。しかもその内の2つが正式な書類。
そんなに頻繁に間違える漢字じゃねえだろぉぉぉ!
さらに30年来の付き合いの友人からの年賀状でも「善光」になっていた事もある。
もしかしたらペンネームを『善光』にした方がいいのかぁぁぁ!
そんなこんなの経験をずっとしているので、子供の名前は変に凝った物だと子供は一生苦労するんじゃないか? と思ってしまうのだ。
シンプルが一番なのだ。
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コメント
70年代に、押阪忍さんが司会のテレビ番組で、
「珍名さんクイズ」なんてコーナーがあったのを記憶しています。
どんな名前が出題されていたかは忘れてしまいましたが、
世の中には変わった名前の人がいるものだと、
当時から感心して見ていました。
近年で有名なところでは、我が子に
「悪魔」という名前を付けようとして受理されず、
スッタモンダの大騒動となったことがありましたね。
最近の傾向でよく見られるのは、
海外でも通用しそうな語感を持つ名前。
ダイヤモンド☆ユカイさんちの双子、
頼音(ライオン)と匠音(ショーン)とか、
三村マサカズさんちの、
衣音(いおん)ちゃんとか。
僕も長い間「善光」だと思っていましたすいません。
いっそのこと「杉村☆ヨシミツ」でいきませんか?
投稿: だってだってなんだもん橋本 | 2011年11月20日 (日) 04時59分
その芸名だと「ギラッチだぜ!
」とか言い出しそうでイヤン。
個人的には「喜」って習字の時に書きにくい文字なので嫌いでした。
でも喜光という漢字はほぼ左右対称なので「大物になる」というらしい、って、善光でも同じだけど。
もっとビッグになって誰も間違わないようになるだけだ!
と無闇と前向きに考えておきます。
投稿: 杉村 | 2011年11月20日 (日) 10時55分