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2010年3月 1日 (月)

鬱と暮らす

今は徐々に解消されているのですが、以前自分は非情にキツイ鬱状態に襲われ、生活がままならなくなってしまった事がある。


それは会社の仕事に追いまくられて自分の事が考えられなくなっていた時期の話。
朝、会社に行くと自分の机の処には仕事が冗談抜きにドンッと山積みになっていた。それらを午前11時に会社を出発して東京へ届ける便に乗せなければイケナイ物、午後2時半に、午後6時に、午後8時に出る便に乗せなければイケナイ物と仕分けして作業を開始する。
元々、渋滞を避けるために1時間早く出社して始業時間までにコンピュータを含めた機械類を立ち上げたりしつつ読書をする時間に当てていたハズだったのですが、いつしかそのドンッの仕事量の為に「これじゃ午前11時の便に乗せられない」と判断して始業前から作業開始せざるを得なくなっていった。
これは命令されたワケでも無いのだけれど、予定に終わらせる為には仕方ない。どんなに弱音を吐いても確実に〆切時間は迫ってくる。
しかし、それが当たり前だと判断されたのか、席に着いたと同時に上司がやってきて仕事の説明などをされるようになり、それから1時間後に始業時間になり朝礼が終わった直後に先ほどの上司がやってきて「なんだまだ終わっていないのか」と怒られた時は流石に「ちょっとそれは違うんじゃないか」と意見した。

当時自分はデジタル編集の仕事をしていて、とにかく雑多な仕事をしていた。文字組から書籍に挟む補充注文伝票(スリップ)の版組、かつての活版組み版本のデジタル修正、デジタルフォトの修正等々、本丸々1冊という物から小物まで常に仕事が流れているという状態で追いまくられていた。
午前11時の便に乗せたと思った瞬間から、昼過ぎの便に乗せなくてはいけない仕事の〆切が迫ってくる。実はその間に他の部署から小規模の仕事がチョロチョロと入って来るのでそれもこなさなければいけない。そっちも「昼まで」とか「2時まで」とか細かく時間を示した赤字でメモが付けられているのでとにかく常に時間に追われていた。
その時間厳守のために12時台の昼休みも仕事をせざるを得なくなり、通勤途中のコンビニで購入したパンやおにぎりを囓り、ペットボトルのお茶で流し込みながら作業を続けていた。

とりあえず会社の中では「午前と午後2回、10分程度の休憩は有り」となっていて、喫煙所とかでノンビリする事は許されていたけれど、自分はサラリーマン時代のラスト10年ぐらいは1度も休憩時間を取った事がなかった。
午後2時半の便になんとか乗せた瞬間から次の6時便へ乗せる作業がスタートするワケです。そんなこんなで午後8時までノンストップで作業を続け、ほとんど無呼吸状態かと思える勢いだったのでヘロヘロになりながら帰宅の途に付く。
かつては徹夜が週2回という時期もあったが、サラリーマン時代の後半はそんな感じの日々だった。毎日夜8時台に仕事を片づけて帰れた、と言っても内容がガチガチに詰まっていたので、実生活では何が出来るというワケでもなくグッタリしていた。
上司と何気なく会話をした時にいきなり「オマエ、いつも疲れているように見えるな、会社以外になんかアルバイトでもやってんじゃねえだろうな」と言われた事もある。どこにそんな余裕あるんだか。別の時に別の上司に「なんか体のダルさが抜けないンすよ」と言うと「俺の若い頃はだな」と長々と自分がいかに凄かったかという自慢話をされてしまった。

そんな生活を続けている中で、ある日ふと何かを判断する事が出来なくなっている自分に気づいた。
それは凄く些細な事から始まった。自販機でコーヒーにしようかお茶にしようかという判断が出来ずに、ぼーっと立ちすくんでいる自分に気づいたり、会社帰りに本屋に行っても棚にある本の文字が全然頭に入って来なくなり本屋の中を2周ほどぐるりと廻って出てきただけだったり、休日に買い物に出かけたハズなのに目的の店の前まで行って何故か入る事が出来ずにそのまま何もせずに帰宅したり、コンビニで弁当を買った時に「暖めて」と言えなくなっていたり、人とちゃんと会話が出来なくなっていたり、と気が付いた時には自分で自分がまったくコントロール出来ない人になっていた。
自分の中で「おそらく鬱病」という診断は出ていたんだけど、それを認めちゃイケナイと否定して仕事を続けていた。というか病気にかまけている程の余裕が無かった。

そんな精神的に壊れたような状態で仕事をしている内に、今度は肉体の方が限界を迎え、以前から腰の痛みを感じていた物が酷くなり、ある朝ぴくりとも起きあがる事が出来なくなったり、四十肩なのか右腕があがらなくなったり、耳鳴りが常にするようになったり、熱い物を食べると(暖かい程度でも)気持ち悪くなるので常温の物しか食べられなくなったり、顔面がひくひく痙攣するようになったり、運動したワケでもないのに筋肉痛になり片脚を引きずるようになったり、全身の疲労感を常に感じていたり、もう「体調不良の総合商社やぁ」という感じになっていった。
もうどこから手を付けたらいいのか? という体調不良だったけれど、とにかく医者に通うようになっていった。と言っても、平日は絶対無理なので土曜日に行くようにした。しかし土曜日に休日出勤しないという事はその分の仕事が平日にしわ寄せとしてやってくるので、さらにキツクなっていったのですが。
そんなこんなで仕事を続けていたのですが、数年の間で2回入院する事となって、仕事に対するモチベーションもどんどん下がっていって……(以前は有給休暇は使い切れなかったが、最後の頃は逆に病院などですべて消化してしまった)。

結果として自分の場合、そんな状態から逃避するために無理矢理ネットで雑学を書いたりしていた事がキッカケで今の仕事がスタートしたので、本当にラッキーだったと思う。現在の仕事が現実逃避の末に始まった物なので、これから逃げちゃ本当にダメな人なので頑張っているワケですが、この頑張っているってのが本当はイケナイんだろうなあ。
もっともサラリーマン時代のラスト2年ぐらいはメルマガもほとんど発行出来ない状態が続いたり、色々あったのですが、鬱病の人は頑張りすぎてしまう人が多いという。
そして本当の鬱病の人は「自分は鬱ではない」と否定していたり「鬱だと周囲に悟られたくない」と踏ん張ってしまうので、さらに症状を悪化させてしまうのだという事を病院で聞かされた。自分も体調不良でずっと通院していた時にも、精神状態がボロボロで「おそらく鬱」みたいな事は一切医者にも言えずにいた。最終的に「精神科に行きなさい」と言われて鬱病と向き合った。

自分の鬱状態は現在の仕事へ転職した事で一気に改善されていった。もちろん最初の頃はキツかった。なんせそんな「人と会話出来ない」という症状があったのに、それを悟られないようにラジオで雑学を語っていたり、さらに何百人を相手に公開放送に参加したり。仕事モードのスイッチを切った後のぐったり感は尋常ではなかったけれど、本当は鬱にとってはいけない「頑張ってみる」で乗り切ってみた。やはり鬱ってのは他人に悟られたくなかったのだ。
現在、鬱に悩んでいる人も多いと思う。でも鬱と感じたらちゃんと病院に行く事をお勧めします。こじらせる前に。そして現在の生活環境を替えることが鬱脱却の近道だと思います。現在の不況の中では難しい部分もあるかもしれませんが、とにかく「自分は鬱である」と認める事が大切です。
だけど、日頃から「俺は鬱だ、鬱だ」と周囲に言っている人は、鬱ではなくただの「寂しがり屋」だと思います。

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