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2010年2月 2日 (火)

調べモノは楽しい

現在、SBS静岡放送テレビで絶賛放映中の「イブニングeye」のコーナー『ラブいぜ!しずおか』では毎週「静岡が誇るナンバーワン」などをロケしているのですが、そのナンバーワンの理由付けなどを調べる作業が大変だけど面白い。


たとえば1月に取り上げたテーマで「しぞーかオデン」があります。
「静岡市内の駄菓子屋ではオデンが売られている」という雑学は近年話題になった事で、それは事実なので多くのテレビ番組で取り上げられた。が、それらを見ていていつも不満だった事がひとつあります。
それは「なぜ駄菓子屋でオデンを販売するようになったのか?」「それがなぜ静岡だけなのか」という部分。さらに「なぜ静岡のオデンはあんなに特徴的なのか」という事。
実際にそれらをテーマに扱った番組を見ていると「へぇ駄菓子屋で、珍しいねええ」とか「うわあ、静岡のオデンって真っ黒の出汁なんだ」とか驚くだけで終わり、後は食べてみて「美味しい!」と感想を言って完結しちゃっている。
事実の羅列だけでその先に踏み込んでいないのだ。なぜ? の答えが出ないままで終わっている。
そこで色々調べる旅に出る。

しぞーかオデンの特徴は「黒い出汁」「牛すじ・牛モツなどが入っている」「1つづつ串に刺してある」「カツオ節の削り粉をかける」「はんぺんは黒い」など、他の地域のオデンとかなり違う点。
その食材に関して歴史的な観点から調べていき、その結果「牛すじ」を入れた経緯に辿り着く。
どうやら静岡で牛すじ・牛モツが食べられ始めた始めたのは大正時代らしいと言う事。ここで連想されるのが同じく牛モツを食べる「ホルモン焼き」の歴史。このホルモン焼きは「本来食べずに捨てていた牛の内臓を食べる方法」として考案された物。日本人のモッタイナイ精神の結実したものなのだ。

で、しぞーかオデンの牛スジなどが食べられ始めたのと同じ時代という事。つまり日本で牛などを食べる文化が一般的になりつつあったタイミングで「内臓どーする?」と考え、関西ではホルモン焼き、そして静岡では濃い味付けで煮るという料理法が考案された。
その時はオデンという事ではなく、とにかくグツグツ軟らかくなるまで煮込むという事でその結果、あの濃いめの味付けに辿り着いたという事で、その後一緒に色々な具材も煮込んでいくようになり、いつの間にか「オデン風」の煮物料理に変化していった。つまり、しぞーかオデンは基本的にオデンではないスタート地点があったので、他の物と全然違う料理になってしまったのだ。

あと駄菓子屋で売っているという理由は、昭和初期に日本中に増えていった駄菓子屋というのは同時に鉄板でお好み焼きやもんじゃ焼きなどを食べされる店が多かった。その中で静岡で考案された「牛すじ煮込み料理」もそのラインナップに組み込まれていくようになる。お好み焼きなんかはお客さんが来た時に色々な準備が必要なのに対して、煮込み料理は朝からただ煮込んでおくだけで良いので手間が掛からないという利点があった。
それが戦争ですべてが焼かれた後、復興する中で出来た駄菓子屋さんに鉄板は面倒くさいけど「煮込んでおくだけでいい」しぞーかオデンだけが復活したのだ。牛すじを煮込む料理法は静岡だけにしか存在しなかったので、他県の駄菓子屋には存在しない。

こういう経緯で(もっと細かい理由もあるんですが)静岡のオデンは特徴的、静岡の駄菓子屋ではオデンが売られているという文化が現在に繋がっているのです。
これに関しても番組コーナーの中では判りやすく簡潔にまとめてしまったので「説明不足だったな」という思いは残る。でも短い時間のコーナーの調べ物に何十時間も掛けているという本当に効率が悪い仕事をしている。
でも調べていって理由にぶち当たるのは本当に楽しい。

ただ調べモノをしていくと、最初「これは恐らくこういう理由だろう」と予測を付けていく事が情報の積み重ねの結果「ダメ」となってしまう事もある。
たとえば「アイスクリームの個人消費量は沖縄県が最低」という雑学がある。それに関して「沖縄県は暑いのでアイスクリームよりアイスキャンディの方が売れるため」という解説があった。
それを読んで知っていたんですが、静岡の販売金額が1位というスイーツに関して調べていく過程でやはりそれに関しても沖縄県の順位は最下位だったのでちょっと疑問に思った。
そして、さらに突っ込んで調べものをして「各種スイーツの県別の消費金額をデータベース化する」という作業を続けた時に「どのスイーツでも沖縄の消費金額は順位が低い」という結果が出た。甘い物だけでなく辛いものもしょっぱいものも……。

その結果として「沖縄は基本的に物価が安いので消費金額という統計では順位が低い」という事が判明してしまったのだ。つまり「アイスクリームの個人消費量は沖縄県が最低」というのは、沖縄県ではアイスクリームが食べられていないワケではなく、安いので消費金額に反映されないという事。
他にも統計で勘違いしやすいもので、農作物に関して「その県は一大生産県なのに、消費金額が極端に少ない」というデータがある。それに関して言うと「その県では生産農家は自分たちで作った物を食べている、そして基本的に販売金額が安い」という事があり、流通上の消費金額に反映されて来ないのだ。
そういう部分をあえて表面に出さずに雑学的に語る事はいくらでも出来る。
「○○県は□□□の一大生産地域だが、実は消費金額では全国平均以下」
そういう意味で裏を取る作業は、自らネタを潰してしまう作業でもあるのです。

でも、そういう調べ物の積み重ねが意味を持ってくるんですな。こういう積み重ねが本当にオモシロイ。

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コメント

静岡競輪で売っている「ふわ」(牛の内蔵の煮込み)も、おでんと一緒に出来たのでしょうか?

投稿: ホープ | 2010年2月 9日 (火) 14時21分

「ふわ」は牛の肺を煮込んだ物ですよね。その名の通りにふわふわなのでその名前だとか。
牛の内臓を食べるというのは、スジやモツを食べるのと同じ流れで出てきた物だと思います。
牛モツを食べるのが一般的になって来たのはこの20年ぐらいかも知れませんが、自分が子供の頃、農協の知り合いが「モツはほとんど売れないから捨てちゃうんだよね」とモツを持って来たので、鉄板焼きにしてよく食べていました。

投稿: 杉村 | 2010年2月16日 (火) 14時38分

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