« RCサクセション『ステップ!』:忌野清志郎追悼 | トップページ | とりあえず医者へ行け »

2009年5月 5日 (火)

小路幸也『東京バンドワゴン』

忌野清志郎ショックがじんわりと続いています。


2009050501これまでの人生でこういう喪失感を味わったのは3回目、1980年のジョン・レノン、1989年の手塚治虫、そして今回の忌野清志郎。他にも1996年の遠藤周作、1997年の星新一、1998年の石森章太郎(自分の中では石ノ森ではない)等々、自分の思春期からを作り上げてくれた人々の死にはその都度衝撃を受けてきたワケですが、こうやって死を受け入れる事で徐々に悟りに近い境地に近づいていくのかなぁ、いつしか自分もそちら側へ行くための精神的な準備をしていくのかなぁ、などと思ったりするワケです。
この先、もうキヨシローの新作が作り出されないという寂しさはある(しばらくの間は未発表曲のリリースが続くんじゃないかと思うけど)。
しかし死という現実感はあまりなく、未だにどっかでニコニコと何が起こっても何処吹く風で「キミたちまだまだ愛が足りないぜbaby」と笑っているような気がします。

2009050502そんな中、キヨシローとは直接関係ないんですが一つ勝手に残念に思っている事がある。
小路幸也さんが書いている小説『東京バンドワゴン』というシリーズ物があるのですが、この世界感は70年代に放送されていた「水曜劇場」その物で、明治時代から続く古本屋「東京バンドワゴン」を営む一家の物語。
頑固な3代目店主79歳を中心に大家族が巻き起こす騒動、その中に登場するちょっと不可思議な謎、それを毎回loveが解決していく。東京下町に展開する隣近所の密接な人間関係もあるという、本当に「寺内貫太郎一家」や「時間ですよ」などの世界観そのまんま。
だから読みながらもすでにドラマ化されるとしたら、古本屋の主人堀田勘一は誰がいいかなぁ、伊東四朗あたりがいいか? いや年齢設定が79歳という事なので結構絞られてしまうぞ、とか。すでに故人となっているが心配でずっと見守っている、という設定で語り部として登場するサチさんは八千草薫かなぁとか、配役を頭の中で思い描いて読み進めたくなるほど、ドラマ的な話なのだ。

2009050503その中に堀田我南人(がなと)という人物が出てくる。
古本屋の主人堀田勘一の長男・我南人は年齢は60歳。設定が伝説のロッカーで未だに自由にフラフラしており、ふっといなくなったり、帰ってきたかと思うと突飛な発言をして事件を起こしたりというキャラクター。そしていい加減で破天荒に見えて結果としてLoveの力で事件を解決し、ほのぼのとした空気で場を包んでいく。
「家族を捨てた男もさぁ、捨てられた家族もさぁ、傷ついているんだよぉ。その傷を塞いで癒すのはさぁ、やっぱりLOVEという名の絆創膏なんだよねぇ」
と普通に考えたら臭すぎるセリフをサラッと言ってしまう、キャラクター。
最初に読んだ時から自分の中では、この我南人のセリフはキヨシローのあの声で想像しながら読んでいました。当然その姿形もキヨシローのまんま。
伝説の「水曜劇場」がもし復活して、この「東京バンドワゴン」がドラマ化されるのなら、絶対に我南人の役は忌野清志郎が演じる物だと勝手に決めていました。
それももう叶わない話ですが、もし出来ることならば3年前に他界した久世光彦さんの演出で、忌野清志郎が演じる堀田我南人を見てみたかった。
その中で忌野清志郎が歌う「ALL YOU NEED IS LOVE」を聞きたかった。

現在この『東京バンドワゴン』のシリーズは『シーラブズユー』『スタンドバイミー』、そして新刊『マイ・ブルー・ヘブン』と4冊出版されている(2冊文庫化済み)。
現在、集英社デジタル読み物サイト「レンザブロー」で5作目となる『フロム・ミー・トゥ・ユー』を連載中。

|

« RCサクセション『ステップ!』:忌野清志郎追悼 | トップページ | とりあえず医者へ行け »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« RCサクセション『ステップ!』:忌野清志郎追悼 | トップページ | とりあえず医者へ行け »