石川セリ「八月の濡れた砂」
石川セリ「八月の濡れた砂」
作詞.吉岡オサム/作曲.むつひろし/編曲.秋葉洋
1972年03月/¥500
キャニオンレコード/A-93

と、憤慨して自分個人だけがフガフガと熱くなっている。
という事で、8月と言えばこの曲。
この曲は日活映画「八月の濡れた砂」の主題歌として1972年にリリースされた石川セリのデビュー曲(映画は1971年8月公開)。日活と言っても、この作品は会社が傾いてロマンポルノに移行する直前の作品。
当時の日本映画はヌーベルバーグとかアメリカンニューシネマだとかの影響を受けた、退廃的な若者達を主題にした物が多く、たとえば夏が舞台になっていても、大騒ぎした後のなんかけだるくやるせない感情が漂う、どちらかと言えば暗い作品が多かった。
この作品は藤田敏八が監督をした作品で、70年まで続いた学園紛争後の虚無感の中で「しらけ世代」と言われた若者達の暴走を描いた作品。

「しらけ世代」という言葉は1970年代初期に生まれた言葉だったが、実際の事を言うと明るいが価値基準になり「根暗」が排除されて総躁状態だった1980年代初期「暗く考えていても何も始まらないじゃん、だったら踊ればええじゃないか」と闇雲に明るさを演出していた時代の方が本質的にしらけていたんだろうなぁと思う。

80年代にはニヒルを気取って「そんな熱くなっても無意味」という感じがよくあった。
そう言う意味で、70年代の夏の歌「八月の濡れた砂」はやりきれない感情をクールダウンさせる曲なのかも知れない。
そして80年代以降は、悩む姿は格好悪いので「とりあえず夏だから騒ごうぜ!」とばかりにテンションを強制的にあげるような曲が多くなったのではと(と言いつつ、70年代にも熱い夏ソングは多いっすけどね)。
このシングルのインナーに歌手・石川セリのプロフィールがある。
本 名:石川セイディ(Seidy)
生年月日:昭和27年12月27日(19才)
出 身:神奈川県相武台
学 歴:玉川大学英米文学部中退
好きな人・映画:
バーブラ・ストライサンド、渥美清、「Funny Girl」「男はつらいよ」
わたしの宣伝文句:
☆Sexy(Sexy) Seidy(本名)、わかんない子、Funny Girl(おかしな子)
☆よく笑い、いつも鼻歌をうたっているのに寂しがり屋……。
うーむ、石川セリは自分が一番苦手な「不思議ちゃん」だったのか。
A面「八月の濡れた砂」は70年代を代表する秀逸でしっとりした曲ですが、B面の「小さな日曜日」はもうちょっとポップな曲で、ベースがいかにもあの時代っぽい音で、こっちはこっちでなんか心地良い。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
夏と言えば、やっぱ石川セリなんだよなぁ。などと言ってますが私がリアルタイムで石川セリを知ったのが72年。
NHKの少年ドラマシリーズのタイムトラベラー。実は第一シリーズ、第二シリーズともに寒い時期の放送でした。学年で4〜5年生の頃ですね。
エンディングに流れた「遠い海の記憶」をつい最近まで「遠い夏の記憶」と勘違いしていて、頭の中の映像も「夏の夕日でヨットがゆらめく」と脳内確定していました。八月の中旬を過ぎると地域の夏祭りも終わり、あのヨットの映像とともに「もう夏もおわりだぞ〜。」と石川セリの歌がエンドレスで流れてきます。
村野 武範の銃をかまえるシーンなんかもなんとなく記憶していますが、相当後になってから「なつかしの名場面集」なんかで植え付けられた記憶かもしれません。
つまり、常にテレビや雑誌の一方的な情報に現在も過去も毒され続けているガキンチョが私なんです。
でも、夏と言えば石川セリと私の中では決まってます。
20世紀少年見にいきたいなぁ。
投稿: 夏でいいのだ。 | 2008年8月21日 (木) 13時02分
石川セリ「八月の濡れた砂」2003年のLIVE映像
http://jp.youtube.com/watch?v=En26n8uDN0s
映画「八月の濡れた砂」予告編
http://jp.youtube.com/watch?v=T55ca1QW8B0
投稿: ようつべ | 2008年8月28日 (木) 08時45分