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2008年8月13日 (水)

芸能人の自宅情報

8月7日、女優の志田未来が家族と住んでいるマンションへ、2メートルほどのフェンスを乗り越えて侵入した男が掴まった。


とりあえず犯人は「志田さんのファンで会いたくて来た」と言っているらしいけれど、その逮捕2時間前、ネット掲示板に『志田未来を今日、殺します』という書き込みがあり、その報告を受けた警察が警戒パトロールをしている所だったという。
その掲示板の書き込みには詳しい住所も書かれていた事から、おそらく同一人物という事。
最近の馬鹿な衝動に突き動かされて想像を飛び越えてしまう犯罪の一つなのかもしれないけれど、まったく物騒な世の中なのだ。

しかし、この犯人がどうやって住所を知ったのかは不明ですが、以前『ジャニーズおっかけマップ』という書籍が話題になった事がある。
ジャニーズ事務所に所属するタレントの住所をバッチリと掲載してしまった事から、裁判になって発禁処分となっている。この本を出した鹿砦社(ろくさいしゃ)はそれ以外にもおっかけシリーズを出していて、宝塚とも裁判になっている。

日本タレント年鑑1970年度版
2008081301その芸能人の住所なんですが、実は昔は今の感覚で言ったら異常な程ゆるかったのだ。
手元に1970年発行の『日本タレント名鑑'70』という本がある。この時の出版元は「日本タレント名鑑刊行会」という物で、現在に至るまで新年度版が毎年発行され続けており、今は「VIPタイムズ社」として続いている。
この本には1970年当時、テレビや映画で活躍していた人々の誕生日や本名、略歴が乗っているのですが、これを読んでいて「!」と思ってしまう事があるのだ。

今でも活躍する人として、例えば「あおい輝彦」の情報も載っているのですが、昭和23年1月10日生まれで、松竹と加藤事務所に所属していて(現在はしまだプロダクション)かつてはジャニーズ事務所に所属し「ジャニーズ」として活躍していた。解散後に劇団四季の研究生になり、その後ビクターからソロ歌手デビューした、とかが解るようになっている。
で、問題なのが事務所の後に続けて書かれている住所なんだけど、どうもその住所が不思議なのだ。

1970年度版にはこんな人の情報も(住所はおそらく自宅、電話は事務所)
2008081302ここではハッキリ書けないけれど「新宿区某所のコーポ○○○XXX号室」となっている。松竹の関連事務所は1970年当時ここでは無い。さらにもう一つ所属している「加藤事務所」の住所でもない。同じく加藤事務所に所属していた女優の水戸光子さんの項を見ると住所が「港区某所X-X-XX」となっている。
他の人を見ると、どうも普通のアパートの「○○荘」みたいな住所が書かれていたり、「○○方」だったりする。どう考えても、普通の住所なのだ。

さらに、それに続いて電話場号もそのまま掲載されているんだけど、やはり事務所が同じでも違う電話番号。中には「呼び出し」とか書かれている俳優もある。
どうやら当時は、そのまんまその俳優や女優の住所や電話番号も当たり前のように掲載されていて、雑誌なんかでも「みんなで応援のお便りを送ろう!」と当人に直接届けられるような状態だったのだ。

内藤洋子
2008081303以前いた会社の50過ぎのオジサンは「俺、20代の頃、内藤洋子の自宅に行った事あってさ、家の前でずっと帰りを待っていたら、内藤洋子のお母さんに怒られた事がある。と自慢げに話をしていた。
(内藤洋子とは「白馬のルンナ」を歌っていたアイドル女優、後に「真冬の帰り道」をヒットさせたランチャーズのギター担当で加山雄三のいとこ喜多嶋修と結婚して、女優・喜多嶋舞を産んでいる)

内藤洋子と加山雄三
2008081304おそらく、雑誌なんかに当たり前のように住所が載っていたんだろうなぁ。と思って、さきほどの「日本タレント年鑑1970」で内藤洋子の住所を見ると「鎌倉市○○○X-X-X」となっていて、電話番号も書いてある。
確か、会社のオッサンは「怒られちゃって逢うのを断念した後、湘南の港に停泊していた加山雄三の船・光進丸を見て帰ってきた」と言っていたので、おそらくここに書いてある「鎌倉」というのが内藤洋子の実家なのだ。
そういえば、70年代アイドル「キャンディーズ」なんかも追っかけが毎晩自宅前まで追いかけて来て、自宅に入るのを見届けてから追っかけチームが解散をするため、ある意味防犯になっていたというエピソードとか、逆に自宅に暴漢が押し入って一晩中警察官とにらみ合いになったアイドルの事件などもあった。

石森章太郎「少年同盟」虫コミ
2008081305同じく、昭和43年、つまり1968年に発売された石森章太郎の単行本『少年同盟(1)虫プロコミック』にも今の感覚で言ったら衝撃的な物が掲載されている。
カバーを剥がすと、そのカバー裏に地図が描かれているのだ。
そこには「ぼくんちへくるには……………………」と、最寄り駅から詳細な地図が順路に点々を引いた状態で描かれ、「ぼくんちの全景だよ」と外観写真が載っている。当然、住所番地もシッカリと明記されている。

「少年同盟(1)」カバー裏の地図
2008081306確か、佐野元春がインタビューで語った少年時代の想い出として「小学生の頃、自転車で練馬にある石森章太郎先生の家まで行ったことがある。アポなしで訪れた小学生に先生はやさしく接してくれて、サイボーグ009のイラストを書いてくれた」と証言しているので、そんな風に住所を知った小学生が連日(特に夏休みは凄いだろうなぁ)訪れ、サインをねだったのだと思う。
ちなみに佐野元春のエピソードは「書いて貰った009をしばらくニヤニヤして見ていたけれど、だんだんと色が無いのが不満になってしまい、自分で水彩絵の具で色づけをしてしまった。しかしインクがにじんで真っ黒になり、取り返しの付かない事になってしまった」と締めていた。
そんな風に昔はおおらかだったのだなぁ

ちなみに1993年度版「日本タレント名鑑」には…
2008081307そう言えば、志田未来のお母さん役を映画「母べえ」で演じた吉永小百合はその住所を頼りにやって来た男によって、恐怖を味あわされた事もあった。
1963年8月9日、まだ吉永小百合が18歳の時に自宅にピストルを持った暴漢が押し入り、通報によって駆けつけた警察官と銃撃戦が繰り広げられたという事件。
この時、犯人は吉永小百合の部屋にまで侵入していたが、犯人が忍び込もうとしている事をいち早く妹が察知し、警察に通報したと同時に本人をはじめ家族5人は避難して無事だった。

犯人は26歳の工員で、所持品の中に入れ墨道具一式があり「小百合の体に自分の名前『ケン』を刻みつけたかった」と自供している。
(普通の工員がピストルを入手し、入れ墨をしようと侵入なんて、今より物騒でやんす)
他にも、島倉千代子の自宅前でファンが手製の爆弾を爆発させる事件とか、色々起こっている。

こんな人も掲載されている(掲載住所は事務所のもの)
2008081309そう言えば個人レベルでは、80年代の雑誌なんかでは平気で「女子高に通っている17歳です。チェッカーズ好きの同世代の女の子と文通希望します」とか書いて、そのまんま名前から住所とか書かれていた時代も記憶している。
今だったら、Googleアースで地図も瞬時に出るし、東京や大都市ならストリートビューで街並みもすぐ解ってしまうので、犯罪者大喜びって状態になってしまうのだ(しかし、マジにストリートビューは凄いけど怖い。東京郊外に一軒家を借りて住んでいる友人H氏の家の写真もバッチリ確認できたし)

個人情報を保護する運動がヒステリックに叫ばれている一方で、その個人情報を取得すれば簡単に家の外観まで判明してしまう。なんだかよく解らない時代になってきたのだ。

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コメント

ひさうちみちおの初期短編集の後書きに、本人が駅前の地図を指している写真が、ウチはこの辺りです、みたいなコメントを添えて掲載されていました

何でも、ひさうち氏の最初の奥さんは、これを見てやってきたファンだったとか…

投稿: コトブキヤ | 2008年8月20日 (水) 22時14分

日本タレント年鑑 名鑑 たくさんのタレントが いますね。ホスト年鑑というのもあるみたいですね。

投稿: 村石太マン | 2010年10月 9日 (土) 19時11分

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