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2008年8月31日 (日)

山下達郎「さよなら夏の日」

山下達郎「さよなら夏の日」
作詞.作曲.編曲/山下達郎
1991年5月10日/¥900
ワーナーパイオニア(MOON)/AMDM-6034


200808311夏シングル第13弾
8月31日という事で、夏シングルはこれで最後です。
かつて山下達郎が「実体験に基づいて書いた詩」と語っていたのですが、なんか凄く爽やかで色男な内容なので、本当か?と思ってしまうワケです。
永遠とも思えた暑い夏が過ぎ去っていく中、自分の少年期が終わる淋しさ、切なさを感じながら、でもいつまでも変わらない気持ちもあると信じて大人へと歩いていく。

ジャケット写真は、どこまでも続く線路とそこに立ちつくす犬の姿。
なんかよく解らないけれど、少年期の記憶と線路はよく似合う。
映画「スタンドバイミー」でも線路づたいに冒険をする少年達が描かれていたし、もう題名もストーリーも忘れてしまったけれど子供の頃に見た映画でも線路づたいに旅をする少年が印象的に描かれている物もあった。
自分も小学校時代、線路づたいに友達と歩いた記憶がある(違法なので、よい子のみんなは真似しないでね)。
なぜか自分の中では「線路」と「少年期」はキーワードとして結びついている。

歌詞の中では「♪明日になればもうここには僕等はいない♪」と歌われている。
この歌詞ではリアルタイムで過ぎ去る夏に立っている少年が描かれているけれど、実際にその場にいる少年はそんな形で終わろうとする季節を感じ取る事はないだろう。
あくまでも、大人になった目線で「あの時の夏はもう二度と帰ってこないのだな」と感傷的に思い出す物なのだ。
ジリリと焼ける日差しを浴びながらも終わりに近づいていく少年期の夏。なんか感覚として終わっていく淋しさを感じつつも、永遠に続く物だとあの頃の自分は思っていた。人生の中で一番贅沢な時間を過ごせるのがその頃の夏なのかもしれない。

「♪どうぞ変わらないで、どんな未来、訪れたとしても♪」
この切なる願いは、やはり変わってしまった現在の自分から過去の自分への切なる願い。変わっていくことは悪い事ではないが、それでも純粋に単純に楽しい事を楽しいと笑っていたあの時代の自分は今思い返してみても輝いている。
しかし現実の自分はノスタルジーばかりに浸っているワケにはいかない。

「♪さよなら夏の日、僕等は大人になって行くよ♪」
大人になれば楽しくない事も必死になってやらなければいけない。そんなに楽しい事は多くはないのだが、あの時代の自分に言い訳をしたくない。あの時代に負けないような大人にならなくてはいけないと思うことがある。
「つまらない大人になりたくない」というのはある意味青臭い言葉の代名詞で、佐野元春の「ガラスのジェネレーション」でも歌われている。この歌詞を「大人はつまらないので、いつまでも少年でいたい」と解釈していた人がいたのだけれど、自分は「つまらない大人ではなく、前向きで楽しい大人になりたい」という意思表示だと思っていた。
あの頃の自分に恥じないように。

少年期に印象的に記憶している線路というのは、この先に続く、見果てぬ未来への希望なのかも知れないと思う今日この頃。

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コメント

はじめまして、いつも楽しく読ませてもらっています。
雑学文章も好きですが、音楽話も面白いです。

山下達郎の「さよなら夏の日」は好きな曲で、カラオケでもよく歌います(難しいですが)
自分も小学校の頃、線路の上を歩いたことあります。
そして写生の授業でどこまでも伸びていく線路を書いた事があります。
やはり見たこともない世界に続いている線路には、心惹かれてしまう物なのかもしれません。

投稿: ヨーク | 2008年9月 1日 (月) 17時25分

山下達郎「さよなら夏の日」
http://jp.youtube.com/watch?v=a9jBZ-YeJL0

投稿: ようつべ | 2008年9月 1日 (月) 23時02分

「夏のシングル」13連発、堪能しました。

流行った当時の記憶を喚起し、
心の琴線かきむしってくれる音楽の威力を改めて感じ、
また、まったく知らない曲でも、
なぜか楽しめる知泉さんの文の巧みさにも改めて感じ入りました。
(コメント欄でのやりとりから
知泉さんは若い頃からすごかったんだ、とわかったのも収穫)


次は「秋のシングル」13連発ですよね?

投稿: ひまじん | 2008年9月 2日 (火) 06時29分

少年期と線路
ちょい感動してしまいました。
あの頃の自分に恥じない今の自分かぁ....。

おそらく少年時代の自分が今の自分を見たら
「俺の人生そんなものか」と暗くなってしまうかも知れません。
でも、まだ終わってはいないと
なんか背中を押して貰ったような気がします。
もっと前向きにならなくちゃいけないよなぁ

投稿: 無名の人 | 2008年9月 2日 (火) 09時28分

>ヨークさん
線路はなんか単純に惹かれる物ありますよね。
自分も中学の時に写真部に入っていて、展覧会に線路の写真を出した事もあります。
今思うと、ただ踏切から線路を撮影したってだけの、何の技術も無い作品でしたが。

>ひまじんさん
音楽というのは記憶を旅する事が出来るタイムマシンなのだと思っています。
人生のポイントになった時に流れていた曲をふと耳にすると鮮明にその時代が蘇ってきます。
特に心が折れている時に学生時代に流行っていた曲を聞くと泣きたくなってしまったりして…。
そんな音楽をずっと愛して行きたいと思っています。

次は「秋のシングル」かぁ……。
色々と考えていますので、こう御期待です。

>無名の人さん
自分なんかはずっと恥じたまま来てしまったようなクチです。
「こんなハズじゃない」と思いながら生きてきました。
でも、そう思っている間はまだ負けていないのかも知れません。
勝ち負けではありませんが、諦めていないという事なのです。
青臭い生き方だと思われてもいいから、前向きに行き続けていきたい物です。

投稿: 杉村 | 2008年9月 3日 (水) 09時17分

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