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2008年3月18日 (火)

とりあえず「若いヤツは馬鹿」

KYに代表されるアルファベットで略する言葉をネタにした『KY式日本語』という本が大修館より出ている。


という事で、それがTVなどで紹介され、判で押したように司会者やコメンテーターが「最近の若者はちゃんとした日本語を知らずに…」と批判的なことを口にしてコーナーが終了するというのがパターン。まったく最近のコメンテーターは…、という感じなのだ。

そこで紹介される言葉の代表が
KY=空気読めない
PK=パンツ食い込む
辺りで、特に「PK」辺りに関しては「そんな普遍性のない言葉まで略する必要があるのか?」とコメントが入るんだけど、これらはあくまでも「いかに携帯電話の入力を短縮するか?」という事からはじまり、それが徐々に遊びに変わっていったと言う物で、そこには普遍性は関係ないと思う。

しかも「PK」あたりは、どこかでコレが誕生して「受ける〜それってマジ使う場所なくない?」的に話題になり、この短縮された言葉が紹介される時にネタ的に面白いので毎回取り上げられていったという感じだと思う。あくまでも紹介する雑誌やTVは「面白い物」を中心に取り上げるので。

で「最近の若い者は」というのは、もう聞き飽きた言葉でいまさらって感じ、だって約10年前にコギャル語が出てきた時に同じような感じだったでしょ。
「MK5=マジでキレる5秒前」なんてのは、広末涼子の1997年4月のデビュー曲『MajiでKoiする5秒前』でパロディというか引用されている(この曲が出た時、すでに「今更MK5?」という意見が多かった)。
あと「チョベリバ=超ベリーバッド」なんかもSMAPが1996年11月18日にシングル「SHAKE」の中で歌っている(この時も今更感が強かった)
今更、若者言葉がどーこーと批判的な話題にするのは「よっぽど話題が無いんだろうな」としか思えないのだ。

若者言葉といえば、自分が10代だった時分にも同じような若者間でしか解らない言葉を嬉々としてつかって、上の世代から「最近の若者は」とか言われていた。
現在テレビやマスコミの中心にいる40〜50代の人々も自分が中高生や大学生だった時代に同じような「若者言葉で遊ぶ文化」という物があったのを忘れちゃったんでしょうかね?
手元に『ビックリハウス版・国語事典:大語海』1982年5月3日第四刷という物があるんですが、これは今の「KY」に通じるような「自分たちだけで通じる言葉を作っちゃおう」という趣旨で雑誌『ビックリハウス』に投稿された物を集めた物。
アルファベット語でここから出た物で一般的になった物では「VSOP」→ベリー・スペシャル・ワン・パターンというのがありました。
当時誕生した言葉では「バックレる」とか「エビぞる」とか。

とか言っても、それより前の世代も同じようにアルファベット言葉を開発していて、旧海軍で誕生したと言われる「MMK=もてて、もてて、困っちゃう」なんてのもあるので、別段現在の若者を批判する部分はないんじゃないかと。
昭和30年代にも造語はいっぱいあるんですが、たとえば「MYカップル」なんてのもありました。
これは、カバー曲「ヘイポーラ」がヒットした梓みちよ&田辺靖雄のデュオが、その後も活動するために「やはりグループ名を付けたほうがよい」ということで、『ザ・ヒットパレード』の中でデュオ名を募集してつけた名前が「MYカップル」。M(みちよ)&Y(靖雄)で「MY」ってことです。
そんなこんなでイニシャルトークは昔から多かったのだ。

テレビの中で「若いヤツらは馬鹿」と言っているのは正解なのだ。そこで若者を馬鹿にしている連中だって、若い時は馬鹿だったんだから、問題無し。
ところで、そのワイドショー的ネタで紹介される『KY式日本語』という本、どんな人が買うんでしょうか?
10年前も「コギャル言葉事典」みたいなのが何冊も出ていましたが、今回の「KY」もこの先いくつかの出版社が出す予定があるみたいで(4月の出版ラインナップにある)すが、現時点で「いまさら」なんじゃないっすかね?

でもって、この手の本は「このイニシャルはどんな意味?」というのが中心で、それだけじゃ一冊本を仕上げるのが大変なので、使用法を解説したり、言葉としての分析したりしているんだと思う。
でもやはり「意味が解れば」それで終わりだよなぁ。もちろんネットを検索すればそんなサイト山のようにあるんでしょうか、実は『KY式日本語』はアマゾンの「なか見!検索」というサービスで一部のページを閲覧できることになっている。
で、それを見てみると、表紙→内容解説→目次→第1章扉→五ページほど解説、となっていて、あとは索引をすべて、A〜Zを見ることが出来る。
問題なのはその索引なんですが「AA(甘酢あんかけ)」というワケ解らないものから始まって「ZZ(ずらずれてる)」まで8ページ分読める。
つまり、この本に掲載されているアルファベットの略語と意味は全部ここで読めちゃうのだ。それでいいの?

…って、結局この本はネットを検索出来ない世代が買う本なので問題無しなのか?

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コメント

先生
そういえば

エッチ = 破廉恥のローマ字綴りの頭文字

というのは本当ですか?
(そうなら、この手の言葉は戦前まで遡れることに)

あと
女学生間の(擬似)同性愛を
エス
と呼んだのも、この流れかもしれませんね
(元の言葉は分かりませんが)

投稿: ひまじん | 2008年3月18日 (火) 19時13分

>女学生間の(擬似)同性愛をエス
は「Sister」の頭文字ですね。
男子学生同士の恋愛をB(Brother)と言った過去もある
みたいですが、こっちは定着しませんでしたね。
ってSも定着はしていないのか?

エッチに関しては語源が諸説あって
・変態(戦前の早稲田大学説、1950年代の女学生説
 →昭和30年の舟橋聖一の小説『白い魔魚』で使われ一般的になったと言われる
・破廉恥(戦前とも戦後とも諸説あり
・帝国海軍で猥談を助平話→「助」→「Help」という流れで「ヘル」と読んでいた物が変化した説

他に
・モンローの映画「七年目の浮気:The Seven Year Itch」から「Itch:イッチ」の変化説
・アルファベットのGの後なので「Girlの尻を追いかけている」説
後から面白がって勝手な説を作り上げる人が多く、語源が曖昧になっています。

Wikipediaには「自慰(G)の後に来て、愛(I)に繋がるのでHとの説」がありますが、これは80年代中期に突然言われ始めたような印象があります。
浅香唯が「やっぱりH」で「Iの手前は...ヤッパシH!」と歌い、島崎和歌子が「Hの後にはIがある」というタイトルで曲をリリースし、同時期にAVのタイトルでもあった事から、おそらく同時期にヒントになる何かがあったのではという感じです。

ちなみに帝国海軍ではアルファベット略語が本文にあった「MMK」以外に「淋病=R」「梅毒=プラム=P」など(Rになっちゃって、などと言いにくい事を隠語で)沢山あったみたいです。

投稿: 杉村 | 2008年3月25日 (火) 07時17分

思いつきに対して、丁寧な調査、ありがとうございます

学校か海軍がその手の言葉の起源ですか
なんとなく思い描けるのは
そういった隠語が生まれるのが、閉ざされた場所でも
そこの影響力の大きさに応じて広まる、という構図です
昔なら、寺社がその役割を果たしたんでしょう
(それが人口に膾炙する決定的な媒体がジャーナリズムなんでしょうけど
 最近は流行語の消費が早いので新語の定着率は落ちてるんでしょうね)

80年代の歌謡曲の場合は
沖田浩之(?)の「E気持ち」(??)が先駆けでしょうか
昭和軽薄体の嵐山光三郎の「~でR(あーる)」とかが影響しているのかも

投稿: ひまじん | 2008年3月26日 (水) 19時26分

>ひまじんさん
沖田浩之の「E気持ち」がリリースされたのが1981年
実はその2年位前から、RCサクセションが
「気持ちE」という曲を歌っていて、ファンの間では
パクリやがって!と話題になっていました。

嵐山光三郎の「〜R」はそれなりに流行ましたねぇ
「笑っていいとも」が1982年に始まった時
毎週日曜の総集編は「いいとも増刊号」として
嵐山光三郎が編集長という役回りで、コント風にその週の
出来事を紹介するという番組をやっていました。
で、毎週ラストに「編集後記」と称して、まとめて
最後の一言がかならず「なのでR」でした。

もう26年前の話です。当時のビデオを探せば残っているハズ。
いや、懐かしい。

投稿: 杉村 | 2008年4月11日 (金) 21時38分

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