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2008年1月15日 (火)

草思社と新風舎

出版不況という言葉が聞かれて久しいけれど、今年は年始草々
1月7日:自費出版大手の新風舎が民事再生法申請
1月9日:草思社が民事再生法申請
という嫌なニュースが飛び込んできた。


草思社といったらここ数年「世界一受けたい授業」なんかでも話題になった斎藤孝「声に出して読みたい日本語」なんかを出していて、このシリーズは書店の目立つ所にどどんと何冊も置かれていたけれど、思ったより売れてなかったんですかね?
もちろん、単純な理由で民事再生法申請ってことではないんだろうけれど「間違いだらけのクルマ選び」なんかもあったのにねえ。
最近はヒット作にも恵まれず負債総額22億4700万円という物だったらしい。

アマゾンで草思社が出している本をザッと調べたけれど、自分的には1冊も買っていない事が判明。でも知られた出版社がこうなってしまった事には激しく危機感を覚える。
その中で「あ、懐かしい」と思ってしまったのがM.Scott Peck著『平気でうそをつく人たち』。
ってこの本も読んだことないんだけど、訳者の名前が森英明さん。知泉の歴史を2001年頃から知っている人には、とある事件を起こした「森くん」と同じ名前という事でごくごく一部で話題になった事がある。そうか草思社だったのかぁ。平気でウソをつく森くんかぁ。

20080115aもう一つの新風舎は出版不況とは関係なく「なるべくしてなったのかな」という印象を受ける。
ここは自費出版の大手で「表現する人の出版社」ということで、素人で本を出したい人が契約して出版するという、簡単に言ってしまえば自費出版の会社。
自費出版というと、自分で原稿を仕上げ、「100冊●万円」とかで印刷して、コミケなどで販売するという印象かもしれませんが、この新風舎はちょっと違う印象がある。

新風舎はアマチュア向けの小説や絵本など、年間20種類ほどのコンテストを行い「本を出したくてしょうがない素人」を集めている。
そんでもって、通常の出版社の場合はグランプリになった人の本を普通に出版するのだろうけど、ほとんどの応募者が1次予選2次予選などを通過し最終的に落選となる。
そこで担当者から連絡が入り「落選してしまいましたがアナタには才能があるとおもいます」と持ち上げられ「協力出版という形で原稿を本にしませんか?」という話に持っていくと言われている。

20080115bこの場合はあくまでも自費出版の会社なので「協力出版」とは「500〜800冊単位の印刷で費用100〜500万円を出していただければ出版出来ますよ」という話にもっていくのだ。
しかも「我が社のルートで全国800以上の有名書店にあなたの本が並びます」といううたい文句を付けて。さらに「初版はお客様の負担ですが、増刷がかかればそれが印税となります」という話も出てくる。

もっとも実際に800もルート書店があるのか不明ですが、実際にはほんの数件の書店に約1ヶ月ほど委託販売のような形で並ぶだけで、当然のことながら増刷がかかる事もない。
2005年8月3日の読売新聞のWeb記事「新風舎」松崎義行さんに聞く 存在感増す「共同出版」で「全国4カ所に直営書店を持つ」として「その一つ、東京・青山の「熱風書房」を訪ねると」と書いてあるんだけど、その熱風書房って新風舎と同じビルの1階にある書店で、直営店というより「新風舎の直売所」という感じなのだ。

ついでに「新風舎の絵本が皇室で読まれている」と言うのも最近の売り文句になっているんでしょうかね?(ニュースで報じられた画面上、愛子ちゃんが読んでいた絵本がそうだったらしい)

20080115cしかも今回のニュースで報道され解ったのが、あくまでも出版したのは新風舎なので出版された本の所有権は新風舎。作者が「本屋に並ばないのなら全部引き揚げて返して欲しい」と請求しても「全部買い取ってくれるのなら」と新風舎はそれに応じないという。
つまり最初に支払ったお金は「本を作るお金」ではなく「編集&流通代金」という事。通常の自費出版は金払って手元に現物の本が100冊とか届いて終わりなのだが、そうでは無いのだ。
そうなると、実際に印刷したか?すら怪しくなってしまう。日本で2番目に出版点数が多い(1位は講談社)ってのも「本当か?」って感じ。

実は、自分も今から5年以上前にメールを貰ったことがある。メルマガを出して順調に読者数が伸びて、まぐまぐの教養部門だったかで10位ぐらいに入ったりして、そこそこ話題になりはじめた頃。
「メルマガを拝見しました。とても優れたコンテンツだと思います。これを書籍化しませんか?」みたいな内容で。
もっとも、自分も出版関連の仕事をしていた端くれで、その手の自費出版業界の噂を知っていたのと、自分がやりたいのは自費で本を出して自己満足している状態ではなかったので、無視してしまった。

20080115dでも世の中には「本を出す」という言葉についフラフラと誘われてしまう人も多い。ネット検索してみると「ついに自分の本が新風舎から出ることになりました。○月○日に書店に並ぶ予定です」みたいな事を書いている人も何人かいて、あぁそうなのねと思ってしまう部分もある。
自分の場合は、最初の本を出した時は、いきなり二見書房関係から「本を出しませんか?」というメールを貰って話がスタートしたんだけど、その時は「どうせまた詐欺みたいな話だろ」と話半分でいた。
その後、こっちが1円も出費しない状態の出版というのが判明し、例の『知泉』に繋がっていったのだ。(騙されようにも金が無かったというのが幸いしたワケですな)

自主出版という形態は別に悪くないけれど「書店に並ぶ」とか「増刷されれば印税が」とかって話で釣るのは悪どいなぁと思うし、このシステムだと出版社は本が全然売れなくても損はしない。当然営業に力を入れる必要はなく「本を出したい」と考えている人がいる限り儲かるという状態なのだ。

20080115e新風舎に関しては現在、民事再生法申請中で、さらに訴えている人もいるんだけど、まだ本を出したいと思っている人もいるんだろうなぁ
今回は新風舎がニュースで取り上げられた状態になった事からこんな文章を書いてみたけれど、似たような会社はいくつもある。
でも、あくまでも「自分が書いた文章を本として残す」という人のためになっている自費出版社もあるので、一概にその手の出版社が悪いというワケじゃない事も勘違いしないで欲しい。

近年は「本なんて文化もう終わりだよ」なんて言う人もいるけれど、子供の頃から今に至るまで本が好きな自分としては、色々考えてしまった話なのだ。

※今回の件で新風舎の事を取り上げている多くのblogを読み込み過ぎて、考え込んでしまった。

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コメント

ボボンボ、ボン、本、ボン
本書いたか?
ボボンボ、ボン、本、ボン
自費出版したの?
ボボンボ、ボン、本、ボン
店頭並んだか?
ボボンボ、ボン、本、ボン
まだ〜出版!

次回作楽しみにしてます。

投稿: ボンボンバカ本 | 2008年1月17日 (木) 19時42分

新風舎が倒産というニュースを見ました。
本当に酷い会社だったみたいですね。

でもニュースに出てきた人なんか
「本が出せたら今の生活から脱出できるのに」
などとインタビューに答えていたけれど
プロで、メジャー出版社から本を出せても
そうそう生活は楽にならないのに
現状認識の甘い人が引っかかっているのでしょうか?
中には、余命幾ばくもない人が闘病記を生きていた証として出そうとしていたのに・・・なんてのもありましたが。

投稿: 彼女はブルー | 2008年1月21日 (月) 21時30分

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