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2008年1月10日 (木)

ナショナルがパナソニックに

松下電器産業が社名を「パナソニック」に変更するというニュースが飛び込んできた。


といいつつ、もうパナソニックというブランド名に慣れてしまっているので「ところでパナソニックって本当の社名って何だっけ?」と言われても、思い出せない時もある。
「えっとね、ナショナル…じゃないよな」となってしまう可能性もあるんだけど、その松下電器のもうひとつのブランド「ナショナル」は消滅して、社名もブランド名も「パナソニック」に統一されてしまう。

う〜むと思ってしまうのは、自著『知泉1』で書いた、ナショナルとパナソニックに関しての雑学がもう過去の物になってしまうという事なのだ。
『知泉1』が文庫本化される事はおそらく無いけれど、この5年の間に時代は色々変化して使えなくなってしまった雑学が増えてしまった。あ〜ぁ。

社名変更の事をニュースでやっていたんだけど「という事はこの曲も消えてしまうんですよね」と言って、おなじみの『明るいナショナル♪』が流れた。
その時にコメンテーターが口々に「懐かしいねぇ」などと言うのだ。
おいおい、未だにTBS月曜19時からの「水戸黄門」の時間帯では現役で毎週流れているって(ナショナル劇場は1960年に松本清張シリーズを放送し、ちゃんとしたレギュラーでは1964年の「七人の孫」あたりから現在に至るまで続いてる凄いスポンサー枠なのだ/放送時間移動はあったけど)。

20080110aでも確かに「明るいナショナル♪」は自分が物心付いた時から流れているCMなので消えてしまうのは寂しい。かといって無理にパナソニックという歌詞を入れても厳しい。
なんせこの曲はCM界の立役者、三木鶏郎の作詞作曲なのだ。これをヘタにいじっちゃダメでしょ。

三木鶏郎は戦後、米軍キャンプで演奏していたという、日本の戦後芸能界の定番パターンでキャリアをスタートさせている。その時にバンド名を聞かれてアドリブで「ミッキーマウス&ヒズ・オーケストラ」と答えたが「お前は人間だろ?ミッキーマウスは変じゃないか?」と米軍兵からツッコミは入ったために、音楽用の「トリル・TRILLER」から「ミッキートリル」と言い換えたという。
その後、戦後焼け跡の日本を歌った「南の風が消えちゃった」を作って、1946年にNHKラジオの『歌の新聞』に出演した。その時に名前を漢字表記で「三木鶏郎」と変え「みきとりお」と読ませた。が、「みきとりろう」と読まれてしまったので、そのまま通してしまったというのが名前の始まり。

20080110b今回の「明るいナショナル」も戦後のCM大ヒット曲だけど、1951年に日本初の民放放送局が誕生した時に、コニカが三木鶏郎に日本初のコマーシャルソングを依頼して『僕はアマチュアカメラマン』という曲が誕生している。(歌.灰田勝彦)
この曲が凄いのはカメラメーカーのCMなのに歌詞は「あらピンボケだ、あらピンボケだ、みんなピンボケだ♪」という、今だったらメーカーが絶対許可しないような物。ある意味、おおらかな時代だったんだろうなぁ。

三木鶏郎といえば、以前雑学として書いた「鉄人28号」のテーマ曲の作詞作曲も三木鶏郎。
こっちは歌詞の中にあった「いいも悪いもリモコン次第 鉄人鉄人どこへ行く♪」という部分が、スポンサーのクレーム「主人公が悪になってしまうという歌詞は好ましくない」ということで、放送される歌詞は2番の「敵に渡すな大事なリモコン 鉄人鉄人早く行け♪」になった。

三木鶏郎の周辺からは色々な才人が誕生しているけど、音楽にあまり関係ない人も出ているってのは「どんなヤツも来い!」って事なんすかね。苗字をそのまま貰った人には桃屋のCMでお馴染みの三木のり平なんて人もいます。
意外な人物には一時期バンドの楽器持ちをしていた人物で、落語家の林家三平もいる。
息子の林家こぶ平(現.正蔵)が「他の世界も経験しろ」と言われて演出家の喰始の所に居候し、WAHAHA本舗の設立に立ち会ったなんて話と同じ流れなんでしょうかね?

でもって、三木鶏郎の凄い所は常に斬新な物を求めて新しい音楽をずっと模索していた所。
CM曲にも色々斬新なメロディラインやリズムを持ち込んでいるんだけど、最晩年ともいえる73才の時、1987年にコンピューターという物で編曲が出来ると聞いて、それでアレンジを初めているという事。
自分も1984年頃からYAMAHAのMSXを使って出来たばかりのMIDI規格で編曲をしていたんだけど、三木鶏郎は本格的にアメリカからMacとシーケンスソフトを取り寄せて、英語マニュアルを読みながら打ち込み編曲をしていたという。
その時に作った曲データが残されているんだけど、中には明らかにテクノを意識した曲もある。凄い73才なのだ。
さらに、戦前の学生時代に書いた「クラリネット五重奏曲」の続きを第2楽章として新たに作曲編曲した物もある。

自分的には最大限に尊敬する音楽家の1人なので、三木鶏郎の「明るいナショナル」が過去の物になってしまうことに一縷の寂しさを覚えてしまう。

って、松下電器が社名変更するのは別に興味無いけど...というお話でした。

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コメント

>> 三木鶏郎の作詞作曲なのだ。これをヘタにいじっちゃダメでしょ。

三木鶏郎の「明るいナショナル」自体、はるか昔に滅んでいます。

1989年 リニューアル版「明るいナショナル」
 ♪始めましょうか 新しい事
 ♪心ときめく 明るいナショナル

2001年 再リニューアル版「明るいナショナル」
 ♪きょうも生まれる 明日の夢が
 ♪こころ繋がる 明るいナショナル

ちなみに、2008年 「SEEDS OF TOMORROW」DREAMS COME TRUE
 ♪パナソニック! 明日の種を
 ♪パナソニック! 蒔くのは今日なんだ

投稿: dreamgate | 2008年10月13日 (月) 23時42分

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