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2007年12月16日 (日)

私は何も知らない

こうやって雑学の人をやっていると、よくされる質問に「どうしてそんなに雑学を知っているの?」という物がある。
その度に「う〜ん」と唸ってしまう。そこで適当に笑える答えでも用意すりゃいいんだけど、なんとか理解して貰おうとして、逆にハッキリ答えを出せずに終わってしまう。
雑学を仕入れるのは「何も知らないから」なのだ。


2007121602私は何も知らない。いわゆる専門教育を受けていない。
だから、色々な本を読んでいても専門用語が出てくると「????」となってしまって、いきなり調べ物をして先に進まなくなってしまう。気が付くと最初に読んでいた本のことをすっかり忘れて、調べ物から派生した他の話題を読み進め、さらにその先を調べている事がある。
だから、その瞬間興味がある方向にだぁぁぁっと進んで、ある程度まで行った所で満足して「そうかそうか」と終わってしまう。
だから、系統だって知識を知っているワケじゃなく、その断片のその時点で自分が理解出来る範疇までしか知らないのだ。だから、専門家と話をして「えっそういう意味なの?」と勘違いに気付くこともある。
日々勉強なのだ。

そんでもってメモとして文章にまとめる時は、自分が解らなかった分、誰にでも理解出来るように整理しつつ文章を組み立てるようにする。どう文章をひねったら自分が面白いと思った部分を人にも面白がって貰えるかって部分に頭を使うのだ。
専門書のあからさまに「このレベルの文章が理解出来ない人は付いて来なくてもいいよ」的なたいどに、こぬやろ!と思ってしまう。イヤ、別にそっちはそんなつもりは無いかも知れないけど。

先日も『20世紀理科年表』という1986年に発行された新書(古本)を読んでいた時も、ジュラルミンの発見について書いてある文章に引っかかってしまった。
要約すると、
20071216011886年にホールとエルーという二人がほぼ同時期に精製法を発見したアルミニウムは、地球上に最も多くある金属だけど、酸化しやすく軟らかすぎるので使い勝手が悪かった。そのために多くの科学者が硬くする技術を研究していた。
1906年9月、ドイツのウィルムさんが、500℃に熱して急冷する焼き入れ法を試していたが、やはり硬くならなかった。
その土曜日に実験したのはマグネシウム・マンガン・鉄・ケイ素をそれぞれ0.5%程まぜたアルミニウム。しかし硬くならなかったのでそのまま帰宅し、月曜日に再度計ってみると、硬度計が壊れたかと思うほど硬くなっていったのだ。

という話。で、その本では「その後、ジューレンで工業化されたので、ジューレンのアルミニウムで『ジュラルミン』と命名された」と書いてあった。
そこで「ジューレン」とはどこにあるんだ?という事でとりあえずネット検索をする。
「ジューレン・ゲレーロ」というサッカー選手がいる事は解った。中国語で主人を「ジューレン」と呼ぶらしいという話もあった。とりあえず「ジュラルミンの名前はジューレンという町に工場が」という話も見つけたけれど、実際の場所はよく解らない。

で、最終的に解ったのは「一般的にデュレンと呼ばれているらしい」って事で、その結果ドイツのケルン地方から西側にある場所と判明した。
でもそれを調べている最中にジュラルミンの命名に関しては「ラテン語で「硬い」を意味するDurasと英語のアルミニウム(Aluminum)を合成した造語」というのも見つけて、うぬぬぬと思ってしまったワケです。
確かに「ジューレンで工業化されたアルミニウムでジュラルミン」ってのは不自然な由来って気もする。
ついでにWikipediaでは「ドイツのデュレンで、ウィルムによって偶然に発見された」と、工業化ではなく発見場所になっている。

そんなこんなで雑学追及の面白さは「本に書いてある事が全てではない」と言う部分と、「世の中には曖昧な事が多いなぁ」という事と、調べていく間に他の面白そうな話題もジャラジャラと発見してしまうという事なのだ。
この軽くて丈夫なジュラルミンが発明された事によって、飛行機がどんどん実用化されていき、第二次世界大戦で、零戦やB29が生み出されるようになっていったりという経緯などなども、調べていくと面白い。(ネットだけの調べ物は恐いので文献にも当たりますが、文献が全てでもなく...と堂々巡りの日々)

きっと、そっち方面の人にとっては「何をいまさら」の話なんだろうけど、こうやって「へぇそうなんすか」と思える事がたくさんある内は人生楽しめるなぁと思うのだ。
偏った知識の穴を埋めていく作業はマジに面白い。その面白い部分を共有してもらいたいから、日々雑学という形で紹介しているのかも知れない。

アルミの豆知泉

現時点でもっとも地球上に多いとされるアルミニウムは、かつては貴重品だった。18世紀末頃、ヨーロッパでアルミは同量の金と取引されていた。

どのくらい貴重だったかというと、ナポレオンの秘蔵コレクションにアルミ製の食器があるぐらい。

アルミホイルの面にはツヤの有る無しがあるが、作る時にローラーに触れる面と触れない面の差で表裏という区別はない。

車椅子1台分の価格はアルミニウムに換算して約700kg。これだけのアルミニウムを空き缶のプルタブだけで作ろうとすると、その数は約140万個必要。

アルミニウムの精錬法を発見した1人、アメリカの22歳の学生チャールズ・ホールは、1886年アルミニウムを精製出来たら大もうけできると考え自宅の研究室で実験を成功させた。
同じ年、フランスの22歳の若き化学者ポール・エルーも同じ精練法を発見した。
偶然が重なるのだが、二人ともその28年後に死んでいる。しかも互いに51歳の誕生日から1ヶ月後に。

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コメント

知泉さま 及び 知泉ファンの皆様

NTV系で放送中の『世界一受けたい授業』で講師を募集しております。
https://www.ntv.co.jp/sekaju/form2/entry.html
> 『あなたのまわりの“先生”を大募集!』
> 世界一受けたい授業で是非講師として推薦したい方、
> または自分だったらこんな授業が出来る!という方を大募集します!

知泉さんの博識ぶりと、それを面白く紹介できる才能
そしてラジオでの喋りの能力を、TVで見たいと思います。
知泉さんは以前クイズ番組の解説者としてTV出演してもいいと
書いていましたが、出演依頼が来たらオファーを受けますか?

とりあえず自分は推薦しました。知泉ファンの皆さんも推薦お願いします。

投稿: 雑学マニア | 2007年12月17日 (月) 07時58分

「世界一受けたい授業」ですか・・・・
もし出演依頼があったら出たいっすね。
博識かどうかは解りませんが、1つのテーマでそこそこ長い話が出来る自信がついて来たので、もし依頼があれば喜んで!って感じすかね。
今、平日ラジオで「限られた時間内で1テーマをまとめて喋る」という荒行を続けているので、持ち玉は以前に比べて格段に多くなっていますし、この先数年は喋り続けるネタがあります。

てなわけで、推薦して頂きましてありがとうございます。
もー雑学に絡む仕事なら何でも受けますよ。

投稿: 杉村 | 2007年12月17日 (月) 09時35分

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