戦争とのらくろ
戦争に関しての話題はラジオでは喋りにくいって事で、とりあえず原稿は書いてディレクターに送ったのだが「案の定」
紙媒体と違ってラジオはもっと公共性が高いし、難しい部分があるワケで。
もちろん、自分なんかの戦争とまったく関わりのない世代が、その辺の話題を面白可笑しく語るってのもどうなのよって部分があるのだ。

自分は田河水泡が書いた原作「のらくろ」は小学校の図書館で少し読んだことがある程度で、シッカリ全編を読んだことはないけれど、内容は戦争が出てくるけれどほのぼのとしているモノのような気がするので、戦意高揚って言われてもなぁって状態なのだ。
でも実際には第二次世界大戦中には多いに利用されたんだろうなぁと思っていた。
アメリカなんかでも、第二次世界大戦中にはミッキーマウスやポパイなんかもアメリカ軍に従事して戦意高揚を必死にアピールしていたんだから、日本ではのらくろなんかも…と思っていた。

田河水泡は戦況を鑑みて二等卒として軍に入ったのらくろが大活躍し、どんどん昇格する話を考えていたらしいのですが、大尉から少佐に昇格する予定で話を書いていた所、その内容が軍部に伝わり「あのようなものが少佐に昇格するとは!かの漫画は軍を愚弄する内容である」と激しく批判され、漫画の継続さえ危うくなったという。
そのために、田河水泡の意見なのか軍部の意見なのかは不明ですが、のらくろは大尉で除隊をする。その後は大陸へ冒険をする話になっている。

だから「のらくろは戦意高揚に荷担した!」というのはお門違いの話、そこを糾弾するのなら、まずディズニーランドに出かけて「友好的なフリをしているネズミやアヒルどもは第二次世界大戦の時に日本を攻撃する戦意高揚に荷担したって事を知っているのだぞ!終戦記念日ぐらいは無料開放しやがれ!」とでも訴える方が正しいのだ(正しいか?)
のらくろ
☆かつてタカラの大ヒット商品に、音に反応して動く「フラワーロック」があったが、実はあの「音に反応して動くオモチャ」の第1弾は「のらくろクン」
※まず、動くギミックが出来た時に「どんなキャラにする?」という会議で、なぜか「のらくろ」という案が大プッシュされ、商品化された。

☆実は田河水泡はアニメ「のらくろクン」は大嫌いだった。

自分が知っているのらくろは1970年にフジで放送された(1970.10.5〜1971.3.29:26回)のアニメだったんですが、調べるともっと前に単発で3回ほどアニメになっている事が判明。
1956年11月27日「のらくろ二等兵」(10分ぐらいの短編)
1956年11月28日「のらくろ一等兵」
1959年05月13日「のらくろ一等兵」(30分アニメ)
1970年のアニメは戦後復刻版の函入り本との連動って感じですかね?
孫が活躍する「のらくろクン」は、1987年10月04日〜1988年10月02日の一年間放送されたみたいです。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
「のらくろ」って、どこの小学校にもあったようですね。
函入り・布張りの表紙に、全ページカラーという豪華さ。
(ただし三色刷りで「のらくろ」と言うより「のらあお」?)
紙面から立ちのぼる、なんとも言えない(なつかしい?)香り。
旧仮名遣いのセリフや、歩くたびに立つ土ボコリの描写など、
それまで親しんでいた漫画とは、別世界のものでした。
とても夢中になって、生前の父(大正15年生まれ)に、
階級章(二等兵→大将)の詳細を教えてもらったものです。
そして誕生日ごとに一冊づつ買ってもらうのが、
当時の私の最大のたのしみでした。
(当時出ていた10冊全巻をそろえるまでにはいきませんでしたが)
内容は、管理人さんがご指摘のように、
ほのぼのした話が多かったように思います。
象狩りに行き、逆に象に
「自分のたのしみのために無益な殺生はするな」と諭されたり、
どこかを攻めに行きましょう、と血気盛んな部下に対して、
「戦争しないに越したことはない。平和なことはよいことではないか」
といさめたり…。とても戦意高揚漫画とは思えません。
大山のぶよさんの声で、最初にアニメ化された時は、
自宅のテレビで受信できる放送局ではなかったので、
近所の幼なじみの家に、むりやり見せてもらいに行ってました。
日曜早朝から、迷惑だったろうなぁ。
今でも、あの布張りの「のらくろ」全巻が、欲しくてたまりません。
投稿: えっち本 | 2007年8月14日 (火) 22時51分
講談社の函入り単行本シリーズは1969(昭和44)年8月〜1970(昭和45)年2月に発行されたモノみたいです。
「のらくろ上等兵」
「のらくろ伍長」
「のらくろ軍曹」
「のらくろ曹長」
「のらくろ小隊長」
「のらくろ少尉」
「のらくろ総攻撃」
「のらくろ決死隊長」
「のらくろ武勇談」
「のらくろ探検隊』
今ヤフオクでチェックした所、1冊1000円って辺りが適正価格で、10冊セット7000円辺りがありました
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v24464762
う〜む、読んでみたい...と言いつつ、最近意味なく本を買いすぎているのでちょいセーブしなくては...と思いつつ
投稿: 杉村 | 2007年8月14日 (火) 23時52分
ソースが完璧なわけではありませんが、田河水泡の義理の弟が書いた著書によりますと、水泡がのらくろ劇中で中国人を模したキャラクターとして豚を使ったのが、軍部による打ち切りの理由だったはずです。
軍部に呼び出されて、「親愛なるアジアの同族を、卑しくも豚などにするとはけしからん」と言われ、紙の配給が無くなったと、著書の中で書かれています。
また水泡自身も激化する大戦の中、これ以上のらくろを続けることにかげりを見せていたそうです。
投稿: ごく | 2007年8月15日 (水) 02時43分
小林秀雄ことなら、弟じゃなくて義理の兄だな。
著書の「考えるヒント」に、のらくろと作者田河水泡についてが書かれていたよ。
投稿: う | 2007年8月16日 (木) 23時26分
楽しく拝読しました。のらくろが世に出た頃は、太平洋戦争前の日華事変の時代、敵国を豚に例え、不気味なソ連を熊に、日本の当事国満州の人民を羊に例えた、今日の国際情勢からはとても認められない事ですが、当時の情勢では実に的を得た引用と感心させられました。田河水泡が語っていましたが「子供は戦争ごっこが好きで犬が好きだ。身近にいた黒い野良犬を主人公にして漫画を描いた」ということで、子供の戦意を高揚する目的なんていうことはなかったでしょう。当時の子供は遊ぶといえば棒きれで遊べる戦争ごっこ、他の遊びといってもボールをはじめ道具がなかった。私も「好きな汽車を好きな油絵で」と描いていますが、のらくろのようにはならなかった。
ヤフーの画面で「蒸気機関車の絵画」で検索ご来館ください。
投稿: 青柳 範 | 2007年8月18日 (土) 21時47分
のらくろは完全な反戦漫画ですよ。(主人公は軍隊に入れば三食タダで食べさせて貰えると思い入隊し捕虜に成ったら助かりたい一心で味方の情報を敵に教えて居るのですから)もし田河水泡が生きていたら小林よしのりのようなインチキ右翼は叱り飛ばしていたと思います。
投稿: みかん男 | 2011年2月28日 (月) 02時20分