« 文庫栞マニア(No.3)1988年10月 | トップページ | ビデオ→DVDの日々 »

2006年7月28日 (金)

正露丸パッケージ裁判はまだ続く

臭い臭い整腸胃薬「正露丸」で裁判があった。


Seirogan01ラッパのマークの「正露丸」で有名な大幸薬品が起こした裁判で、和泉薬品工業が発売している「イヅミ正露丸」を訴えた物で、こちらはほとんどパッケージが同じでマークが「ひょうたん」になっている。
あまりにもパッケージが似ているということで、大幸薬品が「不正競争防止法に違反するんじゃい!」と起こし、製造販売の差し止めなどを求めた訴訟の判決が27日にあった。
確かに、いきなり腹が痛くなって「あぁぁぁこれは正露丸じゃないと直らないのだ」と薬局に入って、脂汗を流しながら手にとった場合、その違いは付かないかも知れない。色といい、デザインといい、もしかしたら同じデザイナーが仕事を使い回ししたか?と思ってしまうレベルのソックリ具合なのだ。

Seirogan02
ところが裁判の結論は「ほかに10社以上が同様のデザインであり、ラッパとひょうたんの図柄も似ていない」とのことで、請求を棄却した。

正露丸というのは、もともと日清戦争の時に不衛生な環境から胃腸病(チフス菌)が蔓延した事から開発が始まった物で、1902年に中島佐一がチフス菌対策にクレオソート剤が効果のあるとして開発した物(他の説あり)。
その後、日露戦争でロシアを攻め入った時に、極寒の不衛生な土地でも効果を発揮する整腸薬として、陸軍が指定薬として使ったことで、最初は「露西亜を征する薬」として「征露丸」と命名されたのが歴史の始まり。

Seirogan03
この時、陸軍の軍医をしていた森林太郎は脚気が蔓延していた事から「脚気は伝染病だ、クレオソートが効く」として大プッシュしたという背景もある。もっとも脚気は栄養失調から来る物なので全然効果がなく、陸軍兵の1/3の25万人が脚気になり、27800人が脚気が悪化で死んでいった。この軍医・森林太郎は後に森鴎外という名前で小説家になっている。(海軍の軍医は脚気は栄養失調からだと考えたために、そちらでは死者はほとんど無かった)

Seirogan04
日露戦争の勝利により「あの薬は効く」として軍用薬としてだけでなく、多くの業者が「正露丸」を作るようになったもので、べつに大幸薬品だけが発売している薬ではない。
ちなみに「征露丸」という名前は、第二次世界大戦後に「征露」は好ましくないということで、現在の「正露丸」に改められている。(といっても法的な拘束力はないので日本医薬品製造株式会社のみが未だに征露丸で発売)

パッケージに関しては1955年頃から、どのメーカーもダイダイ色の地色に縦書き赤文字で「正露丸」、そして黒い縁取りを使用している。現時点では「どこが最初にこのパッケージを考案したのか?」は不明になっている。
裁判では「原告が独占しているデザインではなく、原告製品が他社製と識別可能なのは、ラッパの図柄と社名だけ」として、逆にテレビCMなどで「ラッパのマークの大幸薬品の正露丸」と強調している事から「両社の製品が誤認・混同される恐れはない」と判決を出した。

パッケージを見ると解るのが、大幸薬品の正露丸には「登録商標」という文字が入っている。普通、「正露丸」という商品名を商標登録していたら他のメーカーが使えないのでは? と思ってしまうんですが、実は大幸薬品は他のメーカーも横並びで「正露丸」を発売している中で、1954(昭和29)年に商標登録したのだ。(正露丸・SEIROGAN ・正露・セイロ・せいろ・SEIRO)
その時に、他社が「あれはすでに一般名詞だ」と取り消しを求め、最高裁で「あれは一般名称なのでどこが使用しても差し支えない」となっている。

確かに、大幸薬品は最初に開発したとされる中島佐一の「忠勇征露丸」製造販売権を継承する会社で、正統といえばそうなんですが、なんか必死に「正露丸の名前はワシの会社の物だぁぁぁぁ!」とか「正露丸のパッケージデザインはワシの会社の物だぁぁぁぁ!」と裁判を起こすたびに「へぇ他の会社も正露丸出しているんだ」という宣伝なっているような気もします。

大幸薬品株式会社
トップページに「「正露丸」商標登録 第545984号」と記載されていて、今回の裁判に関する判決などが書かれ「この判決を不服として控訴する予定です」と戦いが続く事を宣言しております。

和泉薬品工業株式会社
いきなりトップページに「正露丸一筋に70余年」「正露丸の製造に努力を傾けてまいりました」とあり、サイト内には「正露丸の由来」と称して「でも、ある事によりこの名前を使えなくなりそうになった事がありました」と裁判に関する事も記載してあります。

|

« 文庫栞マニア(No.3)1988年10月 | トップページ | ビデオ→DVDの日々 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 文庫栞マニア(No.3)1988年10月 | トップページ | ビデオ→DVDの日々 »