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2006年6月 1日 (木)

模写も作品:絵画盗作事件

今年の3月に発表された芸術選奨文部科学大臣賞はそれなりに話題になった。というのも、爆笑問題が受賞したということで、ワイドショーでも、もちろん爆笑問題の番組でもネタにしていたため。
その同じ年度の受賞者が今、さらに話題になっている。


ライチョウ:冬羽(Bird tales-3:1)
001洋画家・和田義彦氏(66)が発表した多くの絵画がイタリア人画家アルベルト・スギ氏の作品と酷似しているという事なのだ。
事の発端は5月初旬に匿名で「あれは盗作だよ」と文化庁に報告が入ったことらしい。報道によっては中旬となっているけれど、和田氏の処へ文化庁から問い合わせをしたのが初旬、さらに13日に和田氏はスギ氏の処へ出向き謝罪をしたともされている。(和田氏の所属している会には去年からその件に関しての指摘があったらしい)

キクイタダキ(Bird tales-3:3)
003これがマスコミの知るところになったのが28日辺りらしいんですが、その時点での和田氏の見解は「(指摘された)作品はスギ氏に敬意をささげたもので、展示の際にもそう明記している」との事、さらに読売新聞の取材に関しては「スギさんとは40年来の付き合いで、一緒にデッサンしたり意見交換してきた。盗作のつもりはまったくない」とも答えている。

ヤマトイワナ(Bird tales-3:8)
008この40年来というのはスギ氏も同じらしいんだけど、ちょっと違っているのは「40年ほど前に知り合い、年に1、2回程度、私のアトリエに来て写真をたくさん撮っていた。私の絵のファンなのだと思っていた。共同制作などなかった」「和田氏が画家だというのは先日初めて知った」とスギ氏が話していて、かなり食い違っていること。

コマクサ(Bird tales-3:10)
010その後、テレビ局が取材に押し掛けた時には「絵画という物は同じように見えても各人間の空気感やタッチなどからそれぞれが別の作品だ」とか「専門家が見れば、二つの作品はまったく別物だとすぐ解る」とか述べておりますが、それってただの逆ギレでは?専門家ではないけれど、それを言ったら模写は全て別物で模写ですら独立した作品として成り立ってしまうって事ですよね?

ニホンカモシカ(Bird tales-3:7)
007「絵の一番大事な部分は絵描きじゃないと解らない部分の、共有性だとかそういったものがあるんですよ」と、てめえら素人がガタガタ抜かすんじゃねえって事ですか。
さらに「ピカソだって盗みの天才だって言われているんですよ」と。
つまり盗みと認めてしまっているんですか?
しかも、自分の作品を弁護するためにピカソまで引き合いに出すって、ちょいとレベルがちゃいすぎませんか?

カワネズミ(Bird tales-2:9)
209絵のタッチが独自の物(自分で書けばそれは確かに自分の筆のクセが出る)ならそれは全部自作品であるなんて理屈は実際にはありえないワケで(そのタッチも似ていると思うんですが)。
これまでも、有名写真家の作品を見て勝手に油絵に書いてアウトになった物もあるし、芸術とはあんまり関係ない広告での写真を真似した構図の別の広告が裁判でアウトになった物もあるし、これがOKなら去年末に大問題になった「スラムダンク」の絵などをトレスして自分の漫画に使ったという某氏の事件(本はすべて回収廃版)なんて全然問題ないわけで。

ライチョウ:夏羽(Bird tales-3:2)
002でも、なんか腑に落ちない点もある。
この和田氏は画家生活60年で、それなりに評価を受けて今まで来た人らしい。今回の芸術選奨にしてもこれまでの活動からの受賞なわけで、今回指摘された盗作があまりにも「そのまま」って部分にすごく引っかかりを感じる。(しかも、現時点で指摘されているのがこの10年以内の作品がほとんど)
さらに、盗作されたスギ氏の弁護士が「スギ氏の展覧会を日本で行うべきだ、和田氏との相違点をそこで決着を」とか言っているのも、なんだかなと感じる。

天然水少女(Bird tales-3:11)
011現段階では和田氏が真っ黒に近いんだけど、もし盗作をするのならそこまであからさまにそっくりな作品を30点も作るかなと感じてしまう。
そして、もし和田氏が「盗作でもOKじゃん」というスタンスで作品を作っていたとしたら、それ以前から別の作家の作品も盗作していたんじゃないか?と思うのだが。なぜスギ氏の作品ばかり?
それと、盗作するのなら、それ以前からの絵をかく技量があるのなら、自分風にアレンジを混ぜて書くのではないかと思うのだ。

アオゲラ(Bird tales-1:1)
101もっとも、和田氏とスギ氏の間で作品を模写して発表してもいいという契約があったとしても、そうなったらなったで和田氏の芸術家としての資質を疑ってしまう。
あくまでも個人的見解だけど、絵画を発表するって事は「絵のテク」とかを見せるためではなく、「なぜその絵を描くに至ったか」という動機付けの部分が一番重要だと思っているので。
そういう意味では、他人の書いた絵をベースにそっくりの絵を描くというのは、意味のない作業と思わざるを得ない。

ヤマセミ(Bird tales-2:4)
204自分も絵の世界をかすかに覗き込んだ事がある人間なので、この問題はかなり興味があるのだ。
ついでに言えば、この問題でシメシメと思っているのは爆笑問題だろうなぁ。なんせ芸術選奨の授賞式の時、和田氏の隣に立っていたし、退席するシーンなどでも常に和田氏の後ろに二人が映っていて、何度も何度もニュースでそのシーンが使われていた。
爆笑問題は「サンデージャポン」と「スタ★メン」と、二つニュースをネタにする番組をやっている事から「ネタが出来た」とほくそ笑んでいるに違いない。

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コメント

技量のある人の作品を手本として自分なりのスタイルを作り出す。絵の世界や芸術の世界では当たり前に繰り返されてる事ですよね。あの浦沢氏(20世紀少年、YAWARA)でさえ以前の作品は手塚氏風だったらしいですね。その後大友氏の影響がかなり強かったみたいですが、今のスタイルに落ち着いた。でも、それって芯になるものは作家の構成力で作品が活きて来るもんだから、独創性は尊重されないとね。だから浦沢漫画は面白いのにっ!。んでもってこの和田さんて方、作品の持つオリジナリティってもんをほんとに理解できてるんでしょうかねぇ。
雑学界のスギ氏もあちこちに贋作が発見されて困惑されて大変ですね。これらもスギ氏に敬意をはらって、似て非なるものって事でしょうか?

投稿: コピーロボット | 2006年6月 3日 (土) 21時06分

「二つの作品はまったく同じだとすぐ解る」から、所属する美術団体は
退会勧告という形で一応の温情はかけているものの、即刻除名を決めたんですよね。
お役所は決定まで1ヶ月ぐらいかかるみたいですが。

投稿: おおつぼ | 2006年6月 4日 (日) 09時43分

なんか言い訳しつつ認めちゃったみたいですね。
でも盗作の善し悪しではなく、この人、描いている最中、楽しかったのかなぁ。
模写でもぬり絵でも、やっている最中は熱中できるかも知れませんが。

逆に、この人のそれ以前の作品ってどんなのか見てみたい気がする。

投稿: 杉村 | 2006年6月 6日 (火) 23時53分

この人、大学教授をやっていたみたいですね。
大学を辞めさせられて、作家でやって行くと宣言した手前、なりふり構わず賞を取りに行ったらバレなかったのでのでそのまま続けました、というストーリーですか。
構造設計の偽装みたいに、何も考えてなかったのでは?
もちろん、創作する楽しみはないでしょう。
しょうもない作業に人生を費やしてしまって。

投稿: おおつぼ | 2006年6月 7日 (水) 23時12分

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