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2006年5月11日 (木)

久保田早紀「異邦人」

01久保田早紀/異邦人
作詞.作曲.久保田早紀/編曲.萩田光雄
CBSソニー:06SH 636/600円
1979年10月1日リリース


世間でよく言われる「一発屋」とされる久保田早紀ですが、こんな曲を残せただけでも凄い事だと思ってしまうわけで、さらに現在もちゃんと音楽活動をしているという事で、一発だとかそんなの関係ねーもんねと思う次第です。
と言っても、現在「久保田早紀」という歌手は存在せず、1985年に元スクェアで編曲家の久米大作と結婚した後は、本名の久米小百合を名乗ってクリスチャンとして宗教音楽を続けています。

2nd Single「25時」1980.4.21
02確か、1992年頃、東京大学の学祭で「久米小百合コンサート」が行われていていたので、いく予定だったんですが、ちょいスケジュールの関係で行けずに「うぬぬ」と思った過去あり。
ちなみに久米大作は声優・久米明の次男です。

3rd Single「九月の空」1980.9.1
03直接的ではない想い出としては、1980年「横町の若様」という愛称で静岡のラジオでパーソナリティを務めていた春風亭小朝(真打ち昇進直前)が高校の予餞会にやってきた時の事。
普段はラジオで軽妙なしゃべりを聞かせていたけれど、こういう場なので落語をやってくれると大期待をしていたのだが、なんか適当な小咄で適当に終わらせてしまったために「ざけんなよ」と思った記憶がある。
そこで小朝がしゃべっていたネタの中に「ちょっと振り向いてみただけの〜♪地方人」という物があって、何故かこの名曲を聞く度に「小朝のヤロー、地方のアホ高校だと思って手ぇ抜きやがって」と沸々と嫌な気分が再現されてしまうのだ。

4th Single「オレンジ・エアメール・スペシャル」1981.4.21
2と個人的な想い出はともかく、この曲はそのエキゾチックなアレンジを含め、日本のポップスの中では孤高とも言えるほどの輝きを持っている。
1979年10月01日に発売されたこの曲はサブタイトルに「シルクロードのテーマ」と書かれているので、NHKでやっていた『シルクロード』に使われたんじゃないかとか勘違いしちゃいそうですが、実際には三洋電機のカラーテレビのCMに使われた曲で、そのテレビの商品名が『シルクロード』。つまり「シルクロードのテーマ」は間違いでも誇大広告でもないわけでやんす。

5th Single「レンズアイ」1981.8.26
5ザ・ベストテンには12月13日、5位に初登場し、2週後の1979年度最終週12月27日に1位を獲得している。
年が明けて1980年、17日まで4週間1位をキープして、その後、3月6日までチャートに入り続けた。(累計150万枚のヒット)つまり、小朝が予餞会でくっだらないギャグを飛ばしていたのは、まさにヒット中の話なのだ。
その久保田早紀は残念な事に、その後はヒット曲と呼べるヒットに恵まれなかったけれど、アルバム曲などにも名曲が多々ある。

6th Single「ねがい」1982.5.21
06異邦人という曲は、萩田光雄のアレンジのために中近東=シルクロードの印象があるんですが、3rdアルバムに収録されたポルトガル録音版の「異邦人」はかなり趣が違っていて、異国情緒はありますがシルクロードという印象とはちょっと外れている。
当初この曲を作った時に久保田早紀が付けていたタイトルは「白い朝」という物で、ピアノ弾き語りで作ったと言うことからもっと大人しい印象の曲だったのではないかと思うワケであります。(4月30日の雑記で国立の豆知泉の中で、異邦人のイメージは元々国立市と書いた通り、ちょっと郊外の静かな街という印象かもしれません)

7th Single「愛の時代」1983.2.1
07で、久保田早紀の悲劇は美人だったって事かも知れないと考えたりもする。
あの時代、作詞作曲をしている女性アーティストは「曲はいいけどね」的な人が多かったんですが、久保田早紀はとにもかくにも大人っぽい美人でした。
当時はアイドル的な歌謡曲とアーティスト的なポップスとの境界線には越すに越せない川が流れておりまして、どんないい曲だろうと「あれって歌謡曲じゃん」的な了見の狭い聴き方をしている人が多数いました。(特に周囲に楽器いじっている人が多くいたので)
作詞作曲&ピアノ演奏をしているという意味では太田裕美なんてのも同じなんですが、美人=アイドル的・歌謡曲的なイメージで敬遠する人もいたという不思議な時代でした。

8th Single「お友達」1984.3.21
08ちなみに、歌謡曲でもロックでもないということで誕生した「ニューミュージック」という言葉は確か、70年代中期の東芝EMIが最初だったと思います。
同じ頃、CBSとEPICソニーは「ニューポップス」という言葉を使っていて、ソニーの販売促進用のレコード袋なんかにはバッチリ「NEW POPS 」なんて書いてあります。定着しなかったけど。
さらに、70年代前半に流行った「赤ちょうちん」「神田川」などの、極々狭い生活圏内の話題を歌っているフォークソングを揶揄して「四畳半フォーク」と命名したのは、八王子の荒井呉服店の娘ブルジョワジーユーミンでやんす(当時は荒井由実)。

LAST Single「ピアニッシモで...」1984.9.0
09久保田早紀本人があんまり前に出る人じゃないので、ベストテンなどに出てもキャラもイマイチ無かった印象でした。
彼女はデビューまでバンド活動などの過去はなく、大学時代に作り溜めた曲をレコード会社に送って、その結果デビューという流れだったので、もともと前に出たり目立ちたいという性格ではなかったのかもしれません。
そして時代は80年代に入り総躁状態とも言える軽佻浮薄な空気が漂い、松田聖子のデビュー、原宿竹の子族やらなめ猫ブーム、そしてアホを売り物にした女子大生ブームと、真面目におとなしい人は「根暗」と呼ばれるような時代に突入していったのです。

現在購入出来るBEST盤「GOLDEN☆BEST」
10jpgそれに逆行するかのように、久保田早紀は1981年10月、めじろ台キリスト教会でプロテスタントの洗礼を受け、宗教音楽に進んでいく事になる。
久保田早紀は自作もリリースしながら、さらに早見優多岐川裕美アグネスチャン北原佐和子沢口靖子などに曲を提供している。
そして1984年に結婚を前提に芸能活動を停止。翌年、元スクエアで編曲家の久米大作と結婚をして、その後東京バプテスト神学校へ通い、神学科を卒業したりしつつ、現在は久米小百合名義で活動を続けている。

全Single&引退LIVE映像3曲入りDVD「久保田早紀シングルズ」2005.6.29
99彼女はデビューであんなにヒットしてしまった事で、逆に大きな括りの中でもがいていたのかも知れないとふと思ったりもする。
芸能界を引退する直前にラジオで「近々、久保田早紀さんとさよならします」と宣言している。つまり「久保田早紀」というイメージは彼女の中ではもう客観的な存在だったんだなと思うのだ。(結婚前の本名は久保田小百合)

久米小百合名義のSingle「百万本のバラ」1988.5.25
102現在の久保田早紀さん(久米小百合さん)の活動ミッションフォートス

ちなみに、今日5月11日は久保田早紀の48歳の誕生日。ハッピーバースディでやんす。

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コメント

久保田早紀...懐かしゅうございます。
当時は部屋に大きなポスターが貼ってあり、毎日彼女のレコードをかけながら眠りについたものです。
ウォークマンでも沢山聴きました。
LP7枚とレコードプレーヤは今でも残してあります。

アマゾンで調べると、初期のLP3枚が91年にCD化されていたようで、カスタマレビューで絶賛されてました。
残り4枚もCD化されたらいいのに。
iPodに全曲入れて聞いてみたい。

投稿: おおつぼ | 2006年5月14日 (日) 07時08分

そんなおおつぼさんに朗報です
ソニーが運営しているオーダーメイドファクトリーで「見知らぬ人でなく」「ネフェルティティ」「夜の底は柔らかな幻」のCDとラストライブ「フェアウェルコンサート(DVD)」が予約限定でリリースされます。
http://www.sonymusicshop.jp/ordermf/index.html
予約受付は5月21日までのあと1週間。

今、久保田早紀BESTを聞いているんですが、何故、異邦人だけしかヒットしなかったのかなぁと思いながら聞いております。

自分的にはオーダーメイドファクトリーでは南沙織の全アルバムCD化に心揺さぶられるワケですが、流石に39800円はなぁ...と。

投稿: 杉村 | 2006年5月14日 (日) 10時23分

どうやらオーダーメイドファクトリーは、復刻希望予約受付を開始して、予定枚数に達したら商品化決定みたいです。
で、「見知らぬ人ではなく」と「夜の底は柔らかな幻」は予定数に達して、同時に予約受付終了となっています。
「ネフェルティティ」と「フェアウェルコンサート」は現在も予約受付中って事らしいです。

投稿: 杉村 | 2006年5月14日 (日) 10時29分

今は小ロット生産ができるので、こういうのができるのですね。平凡社の東洋文庫もオンデマンド出版で一冊ごとに印刷してくれますし、ありがたい時代になったものです。

今回は残念でしたが、既に何回か復刻されてるみたいなので次のアンコールプレスを待ちます。

ところで、JVCでは似たのをやってないのかな。スペースサーカスの復刻版があればいいのに。

投稿: おおつぼ | 2006年5月14日 (日) 16時32分

今の時代だったら、iTMS辺りで販売ってスタイルが一番嬉しいかもしれませんね。LPは持っているワケですし、価格も安くなるので。
iTMSにソニーも参加して欲しいです。マジに。

ちなみに現時点でiTMSで「異邦人」を検索すると、MAGUMI(レピッシュの?)・真綺・徳永英明・中森明菜の4種類のカバーの一部が聞けます。

投稿: 杉村 | 2006年5月14日 (日) 21時32分

YouTube「久保田早紀 異邦人 夜のヒットスタジオ」
http://www.youtube.com/watch?v=VNrh781vtrQ

投稿: | 2006年9月15日 (金) 01時23分

気がついたら2007年11月頃から moraで
ダウンロードできるようになってました。

でもなぁ。

投稿: おおつぼ | 2009年1月 3日 (土) 12時43分

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