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2006年5月 6日 (土)

否定する雑学

先日、東京へ出かけた際に電車の中で読むために2冊ほど文庫本を持って行った。1冊は小説、もう1冊は雑学本。
その内の雑学本がちょっと問題だった。


地名の由来などを色々書いてある物だったのですが、その内容は「○○○という場所は一般的に▽△▽△が語源とされているが、実際には××××が由来である」というパターンが山盛りだった。つまり、すでに一般化されている由来はガセであるという趣旨の雑学本。
最初の方は「マジっすか?」と思いつつ読んでいた。

たぶん一般的な人よりは雑学本を読んでいると思うし、真面目な地名由来辞典なども読みあさっているんですが、そこで展開されている雑学は初耳が多かった。
現時点で自宅にある雑学に関する本は何百冊あるか不明なんですが、新しく出版された雑学本を読んでいても、初耳のネタはほんの数個という状態ではあります。それでも、元々知っている雑学は確認的に読むし、その文中に新たな付随された情報があるのでとにかく読んでいます。
が、この本はとにかく、今まで聞いたことの無い語源が山盛り。

だんだんと「それってただ単に作者の勝手な思いこみでは?」と思い始めるようになった。
実際、語源って物は100%確定している物は意外と少なくて、ほとんどの物が諸説ある状態。自分がネットで雑学を展開させるキッカケも「なんか複数の説があるよなぁ」とその複数の説を羅列する雑学辞典を作ろうかという事だった。
ということで、あまりにも「それは無いんじゃない?」という地名の由来が連発されてグッタリしてしまった。

で、怖いのが自分のような雑学馬鹿の場合は比較対象となる雑学をたくさん知っているけれど、たまたまこの本を手に取ってしまった、そんなに雑学ドップリじゃない人。ちゃんと有名出版社から、本という形で出版されている物に書かれているってのは信頼性が高いって事で、そのまま鵜呑みにしちゃう事もあるんじゃないかという事なのだ。
本に書いてある事だって間違いが無いとは限らない(自分の本も含む)。

本に書かれている事を信じるって意味では、映画化された『ダヴィンチコード』には天才ダヴィンチが描いた絵画の中には色々な仕掛けがあり、その絵画の意味する処とはみたいな物が描かれている(自分は読んでいないのですが)ということで、それを読んだ人の中には、その謎解きされた物がすべて真実になってしまっているケースもある。
でも、あくまでも「小説」ですから、ダヴィンチコードは。

複数の本に書かれている事が真実か?というと、実際にはそうも言えない。
1970年代後半ぐらいからの雑学本が自宅本棚にドドンとあるんですが、例えば複数の本の中には『帝王切開とは、ジュリアス・シーザーがこの方式で生まれたことから付けられた名前』という雑学がかつては当たり前のように記載されていました。
その後、たぶん平成に変わった頃に「という説もあるが実際には、斬るという意味のラテン語「シーサー」を英語に訳する時に「シーザー」と書き間違えた物を、今度は日本語に訳す際「シーザーなら帝王って訳した方が解りやすいじゃん」となってしまった物」という事が書かれはじめ、今ではそれ以前の雑学を覆すという定番雑学になっている。
と言いつつ、去年発行された雑学本でもバッチリと「シーザーがこの方法で」という事が書かれている物があって「誤訳が元でという説もある」と締めていた。

それと「○○はガセである」というのにも色々複雑な事情があるみたいで、それが正しくない事もある。
「トリビアの泉」の中で「サンリオの語源は「創業者の出身地・山梨の王」という意味「山(サン)梨(リ)王(オー)」というのはガセ!」「本当は、聖なる(St.)川(リオ)」と言っていましたが、それはどうも....

実際、創業者・辻信太郎氏が1978年6月8日号の『週刊現代』の「サンリオの奇跡」というインタビューで「もともと山梨シルクセンターという社名で、その中のブランドのひとつが「サンリオ」だった。サンリは山梨の音読み、その後にオを付けたのはなんとなくゴロがよかったから」と答えている。その時、ついでに「周囲では『山梨王』とささやかれている」という趣旨の事も書かれている。で、このインタビューなどをまとめた物はPHPから『サンリオの奇跡』のタイトルで出版されているし、後に角川文庫にもなっている(現在は絶版)ので、いまさらガセと言われてもなぁ状態。(確かに最後のオは王ではないけど)

もっとも、80年代中期からキティちゃんを初めとしてファンシー界で大きく成長し、IC戦略がキチッと出来上がったサンリオは1990年頃には「聖なる(St.)川(リオ)」説を打ち出してきたみたいです。
1990年にサンリオ出版が発行した「サンリオ物語」では社長曰く「世間では社長の郷里・山梨の名をもじって付けたとされているが」と否定している。
その後、1990年代中期にキティちゃんが大人にもオシャレアイテムとして認知され今に至っている。

実際、自分が1995年頃に書いた文章の中で「安室奈美恵がキティちゃん大好きと公言したが、TVのインタビューでは安室みたいな年齢になってキティちゃんって恥ずかしくないか?という声が多かった。女性の間でも安室のファッションは好きだけど、キティちゃんまでいくとついて行けない等と意見されていた」などと書いている。自分もそう感じたので文章を書いたんだと思うけれど、実際、今から10年前は世の中ファンシーがそんなに市民権を得ていなかった。
この10年っすよ、携帯ストラップをはじめファンシーが日常に入り込んできたのは。
つまり、そのベースを作って今でも中心に居るのがサンリオなのです。そのサンリオの語源が「山梨オ」ではダメって事なんですね。

他にも社名に関する語源では、実際の物があまり格好良くないという理由で、後付の語源を考え出した物が複数あるみたいです。いわゆる大人の事情ですね。
そんなワケで教訓「雑学は鵜呑みにするな」

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コメント

一種のメディアリテラシーですね。

投稿: レインメーカー | 2006年5月 6日 (土) 19時31分

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