佐野元春「警告どおり計画どおり」
作詞.作曲.編曲.佐野元春
EPIC SONY/M's Factoryレーベル
10・5H-3046(アナログ盤)
10・8H-3046(CDシングル)
1988年8月18日
定価1000円
佐野元春の曲の中ではイマイチ知名度がない曲で、アルバムにも未収録の曲(20周年記念BEST「GRASS」にはRe-Mix Ver.が収録)。
この曲を発売した1988年というのは日本音楽界にとって大きな変化のあった年で、実はその記録の盤でもあります。
この年、レコードとCDの売り上げが入れ替わってしまい、各レコード会社がレコードに見切りを付けた年。佐野元春の所属していたSONYも例外ではなく、この年を最後にアナログレコードは打ち切ると発表をした。
そのため佐野元春はおそらく最後になるであろう自分のシングルレコードを採算度外視でピクチャーレーベルとして発表した(限定だったと思う)。
ピクチャーレコードB面

演奏は通常のバンド「ハートランド」ではなく「REDS」というバンドが中心になり、ギターにバービーボーイズのいまみちともたか(いまさ)、キーボードに西本明が参加している。
といっても、曲の内容は実にシビアな「原子力発電所」に関しての未来への提言となっている。これまで原発事故が起こったウインズケール・スリーマイルズアイランド・チェルノブイリという地名がサビで繰り返し歌われる。

この曲リリースの二年前、1986年にチェルノブイリで人類史上最悪の原発事故が起こっている。そのチェルノブイリに関しては、ブルーハーツがこの曲の1ヶ月前の1988年7月1日にその名もズバリ「チェルノブイリ」という曲をリリースしている。ブルーハーツはこの曲をリリースするにあたってレコード会社と揉めて、自主製作という形でリリース。

そう考えると佐野元春は攻撃的ではないスタンスで原発を歌ったためにレコード会社の反発も無かったんだと思う。その辺のさじ加減が広告代理店出身ロッカーらしいのだ。
チェルノブイリの事故は1986年4月26日、つまり今からちょうど20年前という事になるんだけれど、その現場は未だに事故以来廃墟となっており誰も住んでいない。現在も地底深くまで放射能がしみこんでいると言われている。そして今やっと、それら原発を中心にした施設の放射能が外部へ漏れるのを防ぐための作業が始まっているというのだ。
そんな今、日本では新しい原発が13基計画されている。もちろん、電気は必要不可欠で、現状を言えば原発に頼らざるを得ない部分もあるんだろうけど、難しい二律背反な課題っすね。
ブルーハーツは「チェルノブイリには行きたくねえ」「あの娘とキスをしたいだけ」と歌い、佐野元春は「たよりなげなジャーナリズム」「やがて滅びるまで何もせず、ただおとなしく見つめているだけさ」と歌っている。
この20年で人類は何を教訓にして来たんだろうか。
佐野元春のオフィシャルサイトに掲載された「警告どおり計画どおり」の歌詞
http://www.moto.co.jp/works/score/Singles.html#Keikoku
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