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2006年3月14日 (火)

こけし(子消しというガセ)

0000_1ネットにかなりの頻度である雑学で「こけしは、昔、子供が多く生活が苦しい家庭で生まれてきた子供を殺してしまい、それを供養するために身代わりとして作られた物。それ故、こけしの語源は「子消し」である」と言う物。
ネットだけではなく、それ以前からそれは言われていて、雑学本にそう書いてある物もあったし、かなり前になるけれど知人の女性が「こけしってそういう意味があるからなんか怖くて嫌い」などと言っていました。


しかし、引っかかる物があって、その件に関してメルマガなどには書かずにいました。
とりあえず「こけし」という名前は昭和初期まで地方によって呼び名が違っていて、現在のように統一されたのは、昭和15年にこけし愛好家達が「統一名を決めようぜ」という事になって決まった物だという事を知っていたので、「こけしって名前じゃなかった地域では違う意味だったのか?」などと考えていたわけです。

さらに、こけしの語源としては芥子人形から「木で出来た芥子人形」が元になったという事は普通の語源辞書などにも掲載されていましたので、「子消し」の方はどうなのよ?と思っていた。
で、色々調べた結果

まず、こけしが誕生したのが江戸時代末期で、最初から温泉地のお土産物として誕生している。
もっとも古い物が文化文政(1804〜1830年)に宮城県の蔵王東麓の遠刈田(とおがった)で作られ始めた物らしく、その後天保年間(1830〜1844年)頃から福島県の土湯でも造り始めたとされている。

明治時代から昭和初期まで地域で色々な呼び方があり、きでこ・でころこ・でくのぼう(木から作ったという意味の木偶-でく-が語源)や、きぼこ・こげほうこ(赤ちゃんを模しているので這子-はいこ-が語源)や、こげす・けしにんぎょう(芥子人形が語源)とバラバラでした。
こけし自体は温泉場の土産物という位置づけですが、大正期半ば頃までは子供への土産物でいわゆるおままごとなどの人形として使われる事も多かったようです。
その後、大正期にセルロイド人形やブリキ人形などが大量生産されるようになり、子供のオモチャとしてのこけしは低迷していきます。

その後、昭和10年代から、これらの民芸品を集める趣味の人が増え第一次ブームと呼ばれる波がやってきます。そして昭和15年に愛好家のサークルで「統一名称を作ろう」と言われ「こけし」になったのです。
第二次ブームは戦後1965年前後にあり、頒布会、産地への旅行会、古品のオークションなどが行われたそうです。その時に「こけし千体趣味蒐集の会」というサークルがあり、それの関係でカタログ販売を始めた会社が「千趣会」という名前で現在もカタログショッピングの老舗として活動しています。
第三次ブームは1978年頃で、それ以降は残念なことにピークはない。

で、問題の「子消し」なんですが、この話は言われ始めたのが第二次ブームの1965年頃かららしく、それ以前の文献をいくら探してもそんな記述は見つからない。
現時点でもっとも古いと思われているのが、1965年当時に詩人の松永伍一氏が唱えた創作話の中にあった物で、そこから引用されたらしい話が色々な所に書かれるようになり、挙げ句の果てはテレビなどでも視聴者の琴線に触れるような悲哀を帯びた話として紹介され、一般的になったとされています。

現時点でも一般的な辞書にはこけしの語源として「子消し」は無いハズですが、結構著名な学者や医学者などが著書にこの説を書いているみたいなので、そのうち掲載されてしまう可能性もあります。

もっとも「こけし」という名前は元々仙台周辺でしか言われていなかった名称で、それが全国で使われるようになったのが昭和15年からなので、ちょっと語源説としてはありえない話だという事です。
でも仙台では「子消し」の意味で使っていたのでは? という疑問に関しても、確かに江戸時代などにはそのような悲しい事例がありましたが、それの事は仙台周辺では「おろぬぎ・おりぬき」あるいは「もどす」と呼んでいました。その行為に関しては、まだ人間として完成していない赤ちゃんの場合「神様へ戻す」という扱いだったので、消すなどという表現は怖れ多かったわけです。


2013年7月 追記
この文章をマンガとして書き起こしています。
Web雑誌「電脳マヴォ」知泉之刻『こけし

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コメント

こけし=子消しを信じてました。
というか人前で自慢げに話した事もありますw

投稿: KK2 | 2006年3月14日 (火) 23時19分

なんかスッキリしました。自分も以前この語源説を聞いた時に、何か本当かなぁと感じた事がありましたので。
いつも読ませて貰っているばかりなのですが、本当にためになります。いつも密度が高いメルマガなので、いつかネタ切れになるのでは?と勝手に心配しています。って余計なお世話でしょうか?
何はともあれこれからも無理せずに続けて下さいませ。

投稿: OH-NUKI | 2006年3月14日 (火) 23時37分

ネットで「こけし 子消し」を検索すると本当にたくさん引っかかってくるので、こりゃ根深いなぁと思っています。
上戸彩主演で映画化された「あずみ」の原作でもそんな逸話が出てくるそうですが(ネットでその話題を読んだだけで、現物は見ていないっすが)、あずみの時代背景は江戸時代初期だったハズなので、そもそもこけしがまだ存在していなかったのではと思ったりしますです。

投稿: 杉村 | 2006年3月18日 (土) 22時34分

昨日、トモダチと「子消し」を話していて
気になって調べてみたら、ちがうんデスか!
勉強になりマシタ〜ありがとうございマス。

投稿: 千華 | 2007年9月27日 (木) 12時36分

ガセを広めてそんなに楽しいですか?
子消しというのは日本の古い悪習の確固たる証拠です。
それを隠蔽しようとするアナタのような人間によって
この事実を知らない日本人が増えているのは悲しい話です。
言葉狩りと同様に、臭い物には蓋をするという体質が
日本を悪くするというのに気付いていないのでしょうか?

そっこく反省をして、この文章を削除する事を要求します。

投稿: TANABE | 2008年3月 9日 (日) 10時54分

↑まあ落ち着け。

投稿: | 2008年5月 9日 (金) 08時28分

ttp://homepage3.nifty.com/bokujin/koq&a.htm
これ読め

投稿: | 2008年9月25日 (木) 06時26分

臭い物には蓋をするという体質が日本を悪くするとか
いいながら気に入らない記事を削除するって矛盾してね

投稿: | 2008年9月28日 (日) 21時41分

TANABEってひとのコメントが必死すぎてウケるw

投稿: | 2008年9月30日 (火) 05時03分

そもそも「消す」という言葉が「殺す」の婉曲表現として使われ始めたのは昭和30〜40年代になってから。テレビドラマの刑事モノのブームのなかで、「殺す」という表現が直接的過ぎるので便利な婉曲表現として使われ始めて広まったものです。

投稿: | 2009年9月26日 (土) 18時49分

TANABEwwwwwwwwwwwwww

どこを縦読みするか探しちゃったよw
マジレスするなら、じゃあこの記事がガセだっていう証拠と
こけし=子消しだっていう証拠を両方提示しろって感じかなぁ

って、一年以上前のコメントに反応する俺も俺か

投稿: | 2009年10月13日 (火) 15時43分

八切止夫のサンカの歴史を読むとガセでないと納得されますよ

投稿: 八ヶ岳の百姓 | 2012年3月 3日 (土) 07時54分

八切止夫ってトンデモさんとして有名な人だよ。
「上杉謙信は女性であった」「織田信長暗殺は明智光秀ではない」を小説ではなく歴史の事実として考えた文章を発表するなど、そっち方面では笑いのネタになっている人。
そして「サンカの歴史」に関してもこじつけ説が大量にあり、しかも他人の論文をパクったとして騒ぎになった本だよね。
しかも出版社から相手にされなくなったので、日本シェル出版社という会社を興して本を出していた。いわゆる自費出版の人。

投稿: Bull | 2012年3月 3日 (土) 09時26分

こけしがあればちんちん要らない →結果 子供ができない 血筋が途絶える

投稿: こけし | 2012年3月13日 (火) 21時13分

信憑性があるかないかすら満足に判断できない人が多いことに驚いた
こういう人って「東スポ記事は全部真実!」って言ってるのと同じように見られていることに気が付いているのかな

投稿:   | 2012年5月28日 (月) 15時06分

中学の時、バリバリの日教組の先生が歴史の時間に言ってました。なんか日教組の教師って必要以上に江戸時代を暗い時代にしたいと思っているようです。

投稿: | 2014年3月13日 (木) 22時50分

『こけし=子消し』の起源は『カルラ舞う』と言う漫画ではないでしょうか?
最も、作者さんはフィクションとして描いていたでしょうが、読者はそんな都合など考慮せず読んでいるものですが

投稿: | 2016年1月 4日 (月) 02時00分

『カルラ舞う!』の原作小説を書いた永久保貴一さんは1984年デビューなので、松永伍一さんが創作民話の中で「子消し」という表記を使った1965年より20年以上後の話ですよ。

投稿: | 2016年1月27日 (水) 01時40分

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