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2006年1月 3日 (火)

里見八犬伝

南総里見八犬伝〈第1の物語〉妖刀村雨丸
今、40歳前後の人間の多くが『里見八犬伝』と言ったら、その八犬士が持っている玉の文字を『仁義礼智忠信孝悌』と暗唱して言える。しかも何故かメロディに乗って言える場合が多い。
1973年4月2日から1975年3月28日(全464話)、NHKで放送された人形劇「新八犬伝」は多くの子供を熱中させた。その主題歌の中に「♪イザとなった玉を出せ、仁義礼智忠信孝悌♪」という箇所があるおかげでこの番組を見ていたほとんどの子が暗唱できるって事なのだ。


南総里見八犬伝〈2〉五犬士走る

江戸文学

今回の八犬伝は滝沢秀明が主役で前後編各2時間20分程度で、TVでもSFXが使える現状でそれなりに迫力もあるので、中だるみもなくガシガシ話が進んで面白い。(里見八犬伝:出演者LIST
もっとも八犬士が集まる話が完璧にメインになって、細かいエピソードは絞り込めるだけ絞っている感じで、あっという間に仲間が集まっていく感じがして「御都合主義」の部分がやけに目立ってしまうのが残念。それぞれのキャラとか特技なんかを描ききっていないのはしょうがないか、4時間半程度の長さでは。

実際、作者の滝沢馬琴はこの「南総里見八犬伝」を約30年書けて書いているんで、その量は膨大な物で、たった4時間ちょっとじゃ描ききれない。少なくとも連ドラで10回以上じゃないと。NHKの人形劇は2年間もやっていたんだし。
ちなみに現在NHKにも「新八犬伝」のマスターテープは第1話、第20話、最終話の3本しか残っていないらしい。

南総里見八犬伝〈3〉妖婦三人

八犬伝は江戸時代に大衆文学として誕生し愛読されてきたが、実は明治時代の一時期、文学の世界から抹殺された事がある。
というのは明治期の文学界で大きな力を持っていた坪内逍遙が「小説の作法」の中で滝沢馬琴や南総里見八犬伝を批判していた事による。というのは坪内逍遙は明治に日本に入ってきたリアリズムを基本とする文学運動に没頭していて「馬琴の作品は八犬士というバケモノが作者の絲索きによって話が進む」と、物語のダイナミズムを否定していたのだ。
今それらの言動を見直すと、明治期にドッと入ってきた海外文学こそが文学で日本のはダメだよねぇという「外国サイコー!日本ってダサイ」という感じでしかないワケで、おかげで江戸時代に盛んだった講談的な作品は全否定。滝沢馬琴だけじゃなく十返舎一九などなども全否定されていた。

南総里見八犬伝〈4〉八百比丘尼

もっとも、そんな坪内逍遙って言う偉い先生の声に惑わされる人ばかりじゃなく、かの森鴎外なんかは「八犬伝は私にとって聖書のような物なのです」と語っていたらしい。参考にする部分が多かったんだと思うし、小説として単純に面白かったんだと思う。主義主張だけじゃねえだろ、小説は。って感じなんだろうな。
しかし、NHKの人形劇を見ていた人として今回のドラマを見ると「玉ちっちぇえ!」と感じてしまうのだ。人形に持たせるためにデカくしていたのは理解しているし、最初は数珠だったのと、最後の犬江親兵衛が開かなかった手の中に玉があったというエピソードから大きさはドラマの物が正しいサイズだってのは解るんだけど、なんか物足りないっす。

今回のドラマ、この時間尺では原作に忠実に出来るハズがないんで、原作と比べてどうこう、ってのは無しで、よく出来た娯楽作品だと思った。

ちなみに八犬伝には続編がある。といっても山田風太郎が書いた「忍法八犬伝」
この話の内容はすっかり忘れてしまったけど、この雑記の1999年8月12日に読書感想文を書いている。(以下その時の再録)
いやーやっぱしこの人凄いや。なんつーか天才ともうひとつの紙一重の処をギリギリ向こう側に行っているって感じ。
なんせこの「忍法八犬伝」江戸時代のベストセラー滝沢馬琴の「八犬伝」の主人公達の子孫が出てくる話なんだけど、子孫の八犬士はやる気は無いわ、女好きだわ、忠誠心ないわ、で困ったちゃんの集団だし、それを迎え打つのは8人のエロエロ女忍者だし、まったくもー子供の頃にワクワクして見たNHK「八犬伝」のイメージがったがた。辻村ジュサブローも大笑いでしょうな。
さらに、そこに示される珠に描かれている文字が「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」じゃなくって「淫・戯・乱・盗・狂・惑・悦・弄」だもんなぁ
たしかNHKの「八犬伝」にもニセモノの珠が出てきて「痴」と言う字だったけど、こりゃ凄いっす。

まったく自分で読んだ記憶が残っていないや。6年半も昔の話。

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